ドツボにハマった?「アメリカ次期戦闘機」の迷走 コンセプトすら描けず イーロン・マスクの“極端発言”が予言に?

アメリカの次期戦闘機計画「NGAD」が開発方針すら描けず迷走しています。昨今の情勢を受けて航空戦闘を根底から見直すべきという意見もあるなか、イーロン・マスク氏が奔放な発言で世間を刺激。その発言は“ズバリ”なのでしょうか。

「F-35なんてマヌケ」

 開発方針の発表は中止になりましたが、NGADは消滅したわけではなく、開発方針を含めたNGADの方針決定は、2025年1月に誕生予定の第二次ドナルド・トランプ政権に引き継がれます。

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アメリカ空軍のF-22戦闘機(画像:アメリカ空軍)。

 トランプ政権で政府効率化省を率いる予定の実業家イーロン・マスク氏は2024年11月24日に「X」(旧Twitter)において、小型ドローン(航空機)の大群が編隊飛行する動画を投稿し、次のようなコメントを付しています。

「一方で、いまだにF-35のような有人戦闘機をつくっているマヌケもいる。F-35の設計は要求段階で破綻していた。あまりに多くの人から、あまりに多くのことを求められたせいでね。結果として何でもこなせるが取り柄もない、高価で複雑な代物ができあがった。ドローンの時代に有人戦闘機なんて時代遅れ。パイロットが犠牲になるだけだ」

 マスク氏の発言には専門家や軍事マニアなどが反発していますが、筆者は、マスク氏がF-35の抱えている問題点を把握しているなと思いました。いずれにせよ要職に就く予定の人物の発言であるだけに、NGADにも何らかの形で彼の意思が反映されると見るべきでしょうし、その発言にただ反発するのは、いささか幼稚なのではないかと思います。

 実のところ、無人航空機が航空戦闘のあり方を変えると考えているのはマスク氏だけではありません。アメリカ空軍のジェームス・C・スライフ参謀次長もミッチェル航空宇宙研究所のイベントで「安価な無人機が航空優勢の定義をどのように変えるか再考する必要がある」と述べています。

 スライフ参謀次長の発言は、マスク氏のそれほど極端なものではなく、無人航空機が有人戦闘機にとって代わることを意味するものではありませんが、アメリカ空軍の制服組No2がこのような発言をしているあたりから見ても、トランプ氏の任期中にNGADの開発方針が決定されるとすれば、システム全体の中の無人航空機が占めるウェイトは大きなものになると予想されます。

【タコかいな!】米メーカー各社が描いた「次期戦闘機のイメージ」(画像)

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コメント

1件のコメント

  1. 戦闘機本体を操縦し無人機が使えなくなったり直接狙われた緊急時場合などは直接制空戦や対地攻撃を行う操縦手と

    自機に随伴の無人機に操縦、指示を送りながら敵軍からのジャミングを防いだり場合によっては敵軍のドローンにジャミングを試みる(+操縦手に何かあった緊急時は操縦を代わる)電子士を載せる事を前提に設計した無人機指揮複座ステルス戦闘機

    ステルス以外はグラウラーや制空以外はなどの既存の電子戦機の改良で事足りるだろうけど

    今後の電子戦の複雑化を考慮してステルス性を持ちなるべく制空用無人機の近くで無人機指揮を行える能力が有人機には必要になる