ホンダの「軍用車か何か?」 まさかのジムニー対抗馬!? いまや超高値な希代の珍車「バモスホンダ」とは

ホンダの独創的なクルマ、「バモスホンダ」。ドアを持たないオープンカー式の軽トラックモデルで、見た目では小さな軍用車のようです。それでいて、ホンダらしい遊び心も詰まっていました。

円谷プロの特撮ドラマに採用されたバモスホンダ

 1972(昭和47)年から放映されたテレビドラマ『太陽にほえろ!』の中には、萩原健一演じるマカロニ刑事が若者らしいヤンチャな振る舞いで、初代ジムニーを乗り回すシーンがあります。

 一方のバモスホンダは、円谷プロダクション制作の特撮ドラマ『ジャンボーグA』の劇中で、「バモスI世」「バモスII世」として、その名を残しつつ登場。ただし、一世を風靡する人気を誇った『太陽にほえろ!』に比べれば、円谷プロダクション制作とはいえ『ジャンボーグA』はどうしてもマニアックに映る作品であり、テレビでの採用がどれだけバモスホンダ自体にフィードバックがあったかは不明です。

バモスホンダの面影ゼロ 26年後の軽ワゴン「ホンダバモス」

 生産終了から26年後の1999(平成11)年には、バモスホンダの系譜とは全く異なる新しいモデルとして、軽ワゴン「ホンダバモス」が登場します。一見ごく普通の軽ワゴンに見えますが、四駆仕様で5MTモデルもラインナップ。最新の安全装備をふんだんに採用する一方、RV志向のユーザー向けのオプションパーツなども用意していました。

 このあたりは、かつてのバモスホンダの反省点を念入りに見直し、新しい軽ワゴンにできる限りの最新技術を全て取り入れたように映ります。結果的にホンダバモスは2018(平成30)年に生産終了になるまで、19年にわたって愛され続けました。

結果的に「ホンダ希代の珍車」

 一般的には「珍車扱い」されるきらいもあるバモスホンダですが、この独創性や柔軟な遊び心は、まさに1960~1970年代半ばくらいまでの「ホンダ特有の遊び心」が反映されているように思います。

Large 20241230 01

拡大画像

1999年に登場した軽ワゴン「ホンダバモス」(画像提供:ホンダ)。

 一方、近年のホンダは「モビリティの優等生」的な印象がさらに強くなり、他社には真似できないクルマやバイクを出す「ホンダ車ならではの楽しさ」は薄まっていると感じるのも正直なところ。

 どうか、この時代にこそ、バモスホンダのような強い個性を感じる1台をリリースしてほしいというのが、古いホンダファンの筆者の強い願いです。それが初代バモスホンダのリメイク車だったりすると、さらに嬉しいのですが……。

【「ドアの代わり」それかよ!!】ホンダ希代の珍車「バモスホンダ」を写真で見る

Writer:

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

最新記事

コメント