勝てば1兆円「日本vsドイツ 護衛艦輸出“最終決戦”」どっちが有利? 日本は「勝ち目あるのか…?」
実現すれば「約1兆円」規模といわれるオーストラリアへの護衛艦輸出は、日本とドイツの一騎打ちの様相です。すでに同国で実績のあるドイツの提案、日本の提案をそれぞれ比較します。
オーストラリア向け護衛艦 日独ともに「実物はまだない」
実現すれば「約1兆円」規模といわれるオーストラリアへの護衛艦輸出は成功するのでしょうか。これについてオーストラリア政府は2024年11月25日に、日本とドイツの提案を最終候補に選定したと発表しています。
オーストラリア海軍は2024年12月時点で、アンザック級フリゲートを7隻運用していますが、7隻とも老朽化が進んでいるため、後継艦導入計画「プロジェクト・シー3000」を進めていました。このプロジェクトには日本、ドイツ、韓国、スペインがそれぞれ提案を行い、日独の案が最終候補に残っています。
ドイツはプロジェクト・シー3000に、「MEKO A-200」(満載排水量3700トン)と、それを大型化(満載排水量4700トン以上)して、オーストラリア海軍の要求により合わせやすくした「MEKO A-210」の両案を提案していましたが、オーストラリア海軍はMEKO A-210案を最終候補に選定したようです。
MEKOはドイツのブローム・ウント・フォスが開発した汎用フリゲートのコンセプトで、「MEhrzweck KOmbination」の略称です。日本語で「多目的組み合わせ」を意味しますが、MEKOフリゲートはその名が示すように、導入国の要求に合わせた兵装やシステムなどを搭載しやすくしている点が特徴です。
アンザック級フリゲートはMEKOシリーズの「MEKO200」をベースに開発されていますので、その延長線上に開発されたMEKO A-210の方が、オーストラリア海軍にとっては日本の提案している「令和6年度護衛艦」をベースとする新型フリゲートよりも、なじみが深いのかもしれません。
ただ、令和6年度護衛艦と同様、MEKO A-210もまだ実艦は存在していませんので、提案に運用実績が無いという点では、日独とも同じだと言えます。
1年前から火花を散らしていた日独
MEKO A-210の実艦は存在しませんが、2023年11月にオーストラリアで開催された防衛装備展示会「INDO PACIFIC 2023」では模型の展示が行われています。
ちなみにこの展示会では令和6年度護衛艦の輸出仕様「FFM-AAW」の模型も展示されており、日独両国はオーストラリアへのアピール合戦に火花を散らしていました。あくまでも公開されている動画などを見た限りでの印象ですが、船体のステルス製は令和6年度護衛艦の方が高そうに見えます。
搭載している対空ミサイルの数や多用途性などはほぼ互角のように思えるものの、MEKO A-210はドローンなどの迎撃に使用する出力20kw級のレーザー兵器が標準装備されています。令和6年度護衛艦にはレーザー兵器が搭載されていません。ドローンの脅威が看過できなくなっている中で、レーザー兵器の標準装備はオーストラリア海軍にとって、魅力の一つになると考えられます。
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