デカくて静かな“スゴイ旅客船”続々登場!? 2025年「注目の新造船」たち 燃料の“脱・アブラ”さらに加速!
2024年も新燃料や風力に着目したユニークな新造船が多く竣工しました。2025年もその方向性はさらに鮮明に。“脱・アブラ”を象徴する新造船が続々と登場します。
「自動車運搬船」も次世代燃料へ
トヨタグループで完成車の輸送を担うトヨフジ海運の新造「自動車船」も、今年デビューです。同社は2050年までに船舶のCO2(二酸化炭素)排出ゼロを掲げ、新燃料船の整備をすすめています。
この先駆けとして三菱重工業下関造船所で建造されているのが、LNGと軽油を燃料として使用できる2元燃料(DF)エンジンを搭載したRORO船「TRANS HARMONY GREEN」と「TRANS HARMONY EMERALD」です。次世代の自動車船隊を象徴する船として日本―東南アジア航路でトヨタ自動車をはじめとする完成車輸送に従事します。
全長は195m、全幅は30.6m、総トン数は4万9500トン。積載車両台数は“トヨタクラウン換算”で約3000台となっています。
1番船は1月中の引き渡しを予定しており、竣工後はアジアの主要港を定曜日、定間隔で結ぶ「アジアウィークリーサービス」へ投入されます。これは横浜や名古屋で完成車などを積み、レムチャバン(タイ)、ポート・ケラン(マレーシア)、シンガポール、パティンバン(インドネシア)といった東南アジアの各港を結ぶ航路となっています。
“世界初”を投入する瀬戸内の有力企業
広島の備後地方を地盤とする常石造船は、世界初のメタノール燃料6万5700重量トン型ウルトラマックスバルカーを建造中、2025年春の竣工を予定しています。
メタノール燃料を使用することで、重油と比較してNOx(窒素酸化物)最大約80%、SOx(硫黄酸化物)最大約99%、CO2最大約10%の排出削減を実現。これにはバイオマス由来もしくは合成燃料としてのグリーンメタノールを使い、カーボンニュートラルを実現する想定です。
常石造船からはさらに、水素混焼エンジンを搭載したタグボートも2025年内に登場する予定です。同船はCO2排出量を従来のエンジンに比べ、最大80%削減することを目標にしています。現在、ベルギー海運大手CMBと常石グループのツネイシC&F(クラフト&ファシリティーズ)、神原汽船が出資している「ジャパンハイドロ」が、日本財団の支援を受けて開発を進めています。
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