護衛艦の居住区「個室化」「ネット使える」は急務!? 安全保障に直結するこれだけの理由 「任務から戻ったら浮気されてて…」
防衛省が公開した予算案で、護衛艦の寝室をカプセルベッド化すると明記しました。この装備、実は“世界初”かもしれません。なぜこのような改善に踏み切ったのでしょうか。
人口の少ない国では“熾烈な人材争い”
海上自衛隊はソマリア・アデン湾で海賊対処行動を行っており、護衛艦とP-3C哨戒機を派遣していますが、海賊対処行動に派遣される護衛艦の中には任務を遂行するための乗員が足りず、他の護衛艦から臨時に乗員を借りて、なんとかアデン湾に送り出しているという話も関係者からは聞いています。
現状でこの有様なのですから、今後ますます少なくなる若い世代に、「プライバシーの無い空間で過ごせてこそ船乗りだ」などという考え方は通用しません。現状のままでは将来の艦艇乗員の募集はますます困難になることが確定的です。
こうした艦艇での人手不足は日本に限った話ではありません。「居住環境改善によって、長く海軍で働いてもらいたい」「将来の人員募集を有利に進めたい」という考え方は、先進諸国の海軍では共通の課題となっています。
たとえばスウェーデン。日本と同様、若年労働者人口が少なく、少子化にも悩まされています。筆者は先日、スウェーデンの防衛企業であるサーブの幹部と話をしたのですが、次のように話していました。
「スウェーデンでも少ない若年労働者は、軍とイケアなどの民間企業との奪い合いです。このため少しでも艦艇勤務の苦痛を減らし、かつ魅力を感じてもらえるような艦艇の居住環境改善のために、サーブと(同社の子会社で艦艇の建造を手がける)コックムス、それにスウェーデン海軍は知恵を絞っているんですよ」
スウェーデンの近くには、バルト海を挟んでロシアの飛び地であるカリーニングラードを司令部としているバルチック艦隊という脅威があり、日本と同様に海上の防衛力はかなり重要な問題です。
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