空を飛べるのに…?「穴あき200億円トンネル」「豪華な跨線橋」を線路に建設 欧州で広まるコウモリ保護作戦

英国で建設が進む高速鉄道「HS2」が、森の中に長さ1kmにおよぶトンネル状の建造物を造ろうとしています。費用は1億ポンド(約200億円)以上。目的はコウモリの保護です。このような巨額を投じる“ニューノーマル”が、欧州で広まりつつあります。

コウモリ保護に熱心な欧州の公共交通

 こうした動きは、実は高速道路の方が先行しているようで、21世紀初頭から英仏独の各地でコウモリが高速道路を渡れるように、コウモリ用の橋が建設されています。

 直近では、2024年にドイツ南東部のパッサウで高速道路の上に約400万ユーロ(約6億6千万円)をかけてコウモリ用の橋が造れています。

 高速道路で一般的になってきたため、鉄道業界でも無視できなくなってきたということかもしれません。

 跨線橋以外にも、コウモリ保護の動きは欧州の鉄道業界で増加傾向にあるようです。

 ドイツ鉄道は線路の下をくぐれるようにコウモリ用の「アンダーパス(トンネル)」をあちこちに設けていますし、また、英国の線路の大半を管理しているネットワーク・レイル社や、ロンドン交通局、ドイツ鉄道、スイス鉄道などはコウモリに巣箱を用意したり、使われなくなった古いトンネルや小さな建物をコウモリの巣窟として転用したりする保護活動も行っています。

 中でも、ロンドン交通局は市北部のハイゲイトで使われなくなった駅舎と古いトンネル4本をコウモリの巣として提供・管理しています。42匹のコウモリが確認されているということですが、地価が高いロンドンの中でもハイゲイトは特に高級住宅街の地区。コウモリのための超高級マンションとなっています。

 いずれの場合も、鉄道会社のウェブサイトには大きく宣伝が載っています。ドイツ鉄道は、「コウモリのためのホテル」という専用のページを開設して、こうした巣の提供を通じた保護活動のコンセプトを説明していますし、各企業のイメージ向上にコウモリが一役買っているようです。

 今後、どこまでコウモリ保護の動きが鉄道業界の中で一般化していくのか、興味深いところです。

【豪華】人は渡れないドイツ鉄道の立派な跨線橋を見る(写真)

Writer:

アーティストとして米CNN、英The Guardian、独Deutsche Welle、英BBC Radioなどで紹介・掲載される一方、鉄道ジャーナリストとして日本のみならず英国の鉄道雑誌にも執筆。欧州各国、特に英国の鉄道界に広い人脈を持つ。慶応義塾大学文学部卒業後、ロンドン大学SOAS修士号。

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