「青い“さんふらわあ”」ついに姿を現す! LNGの新造船「さんふらわあ かむい」お披露目 大洗-苫小牧750kmを結ぶ

商船三井さんふらわあが運航を担う新造LNG(液化天然ガス)燃料フェリー「さんふらわあ かむい」が、まもなく大洗-苫小牧航路にデビュー。大洗港にてお披露目されました。

できるだけ早く“船からガス供給”にしたい

 環境対応船である「さんふらわあ かむい」は主機関としてLNGと重油(適合油)を使用できる2元燃料低速エンジン1基を搭載しています。LNGは従来の燃料油に比べてCO2(二酸化炭素)を25%、SOx(硫黄酸化物)を100%削減できる効果が見込まれており、海事産業全体で課題となっている環境負荷を大幅に低減することができます。

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フェリーターミナル越しの風景。太陽のマークが描かれた部分の船体は白い(深水千翔撮影)

 さらに船首のバウスラスターや船尾のスターンスラスター、ポンプジェットなどを装備し、5翼可変ピッチプロペラを備えることで、操船性の向上を図りました。

「フェリーでありながらエンジンが1基なのは技術の進歩による事故率の減少がある。また、万が一の場合はポンプジェットで緊急避難的に推進力を確保することができるようにした」(牛奥社長)

 LNG燃料のバンカリング(供給)は、大阪―別府航路の「さんふらわあ くれない/むらさき」で実績がある、複数台のタンクローリーと船を同時に接続し短時間で補給を行う「トラック・ツー・シップ」方式を採用します。

「かむい/ぴりか」が就航する大洗―苫小牧航路は約750kmの長い距離を走るため、大洗港で石油資源開発が、苫小牧港で北海道ガスがそれぞれLNG燃料を補給する計画です。現時点では苫小牧側の整備が終わっていないため、バンカリングは当面、大洗でのみ実施します。

 ただ、効率性ではバンカリング船を使用した「シップ・ツー・シップ」方式の方が勝っています。牛奥社長は「できるだけ早いタイミングで、シップ・ツー・シップでのガスの補給を実現させたい」と語っていました。

 あらゆる面で新しい時代を象徴するフェリーである「さんふらわあ かむい」の船出まであと少し。その乗り心地をぜひ楽しんでみてください。

【写真で見る!】これが「青いさんふらわあ」だ!

Writer:

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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