三菱車の燃費、なぜ悪かった? 責任を取った日産

燃費不正問題に揺れる三菱自動車。そのクルマの燃費は実際に、カタログとは異なる傾向が出ていました。またこれにより三菱自は日産の傘下に入りますが、決して「美談」とは言えなさそうです。過去のリコール隠し問題発生時には、独・ダイムラー社から見捨てられた三菱自、今回はどうなるのでしょうか。

実際、三菱車に乗ってみると

 軽自動車の燃費を不正表示していた三菱自動車が急転直下、日産傘下入りすることになり、八方丸く収まってめでたしめでたし、という空気が流れています。

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日産の社長兼最高経営責任者(CEO)で、ルノーの取締役会長兼CEOであるカルロス・ゴーン氏(画像出典:日産自動車)。

 しかしそもそも三菱の軽自動車は実際のところ、どのくらいの燃費だったのでしょう。

 私は約2年前(2014年7月)、三菱「eK」シリーズがマイナーチェンジした際、『CARトップ』誌にて、「eKカスタム」とライバルのホンダ「Nワゴン」の燃費比較テストを行いました。

 テストしたのは、ともに売れ筋の自然吸気(ノンターボ)エンジン搭載モデル。東京・お台場周辺の空いた一般道を2台前後で連なってごく普通に10kmほど走り、出たのは次の結果です(両車とも燃費計の数値)。

三菱「eKカスタム」:19.1km/L
ホンダ「Nワゴンカスタム」:23.6km/L

 当時、三菱「eKカスタム」のカタログ燃費(JC08モード)は30.0km/Lで、対する「Nワゴンカスタム」のカタログ燃費は29.2km/L。ところがこのテストでは、あくまで参考程度の精度ながら、三菱「eKカスタム」のほうが実燃費で約2割も劣る結果になりました。

 実際に乗り比べると、三菱「eK」シリーズは、ホンダ「Nワゴン」に比べて加速の悪さが際立っていました。加速が悪いので、同じペースで走るには「eKカスタム」のほうが深くアクセルを踏み込まなければならず、結果的に燃費で差がついたのです。

「加速が悪い」というのは、具体的には「低速トルクの弱さ(薄さ)」です。アクセルを床まで踏みつければ、どちらのクルマも加速はそれほど大きく変わりませんが、日常的な運転で大事なのは、アクセルを少し踏んだときに発揮される低速トルク。これが強ければ(厚ければ)軽やかに走って燃費も良くなりますが、弱い(薄い)と加速が重くなり、燃費も悪化します。

 現在、国交省が燃費を計測し直していますが、三菱自側が「最大15%の差があった」と説明しているように、数%から20%程度、実際には劣っていたのではないかと推測されます。

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コメント

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2件のコメント

  1. 台数も少ないし他社のに乗ったことないし、当たり外れもあるから断言出来ないけど、
    今までずっと日産車に乗ってきてその間 常にカタログ燃費に近い数字が出ていた。
    今の車 -0.5㎞/㍑くらい
    此の会社 そこはシビアなのかな?
    でも軽の供給受けたときに見抜けなかったのかな?証拠が揃うまで言えなかったんだろうか。
    しかし三菱も随分舐めたことしますね。
    日産に 軽の供給始めたのに プロを相手に隠し通せると思っていたんですかね?
    部外者だからこんな感想しかないけど。

  2. ゴーンは当面の間スリーダイヤをなくさないような事を言っているが最終的に継続困難になったら吸収以外あるまい。
    プリンスの吸収や新日国車体や民生ディーゼルを傘下に収めたのとは根本的な違いがある。
    企業文化の違いもだが作る側・売る側・買う側の考えが違いすぎる。作る側はともかく買う側(ユーザー)の双方の反発は強いように感じられる。