今さら戦闘機に機関砲って必要なんですか?「ミサイルや爆弾があれば何でも攻撃できるハズ」←それ間違いです!
戦闘機が搭載する機関砲は、対空戦闘においてはもはや必要性が薄まりつつあります。しかし、だからといって不要かというとそうではありません。対地攻撃では今もミサイルや爆弾より有用な場面が多々あります。
地上部隊からすると恐怖でしかない「砲弾の雨」
現代の戦闘機に搭載される機関砲は、その存在価値を問われ続けています。
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1990年代まで、すなわち東西冷戦期までの空中戦では、機関砲はパイロットのスキルと戦術を反映する最後の手段としての価値がありました。しかし、空対空ミサイルの性能が向上し、射程や命中精度が飛躍的に向上したことで、近接戦闘における機関砲の必要性は大幅に低下しています。実際、今日のドッグファイトはミサイルが主体で、機関砲はほとんど使用されません。
しかし、戦闘機の機関砲はミサイルにはないメリットがいまだあるのも事実でしょう。具体的には、その汎用性の高さです。特に、地上目標に対する攻撃、いわゆる地上掃射においては有用です。
地上掃射は目標を直接、破壊するだけではなく、敵部隊の移動を阻止したり、防御態勢を混乱させたりといった心理的な効果も大きいです。敵兵士からすると、突然降り注ぐ機関砲弾は恐怖そのものであり、その威力と音響は戦場での心理的優位を確立する手段ともなります。こうした効果を「制圧」と呼びます。
現代の戦闘機に搭載される機関砲は、強力でありながら使い勝手が良く、さまざまな場面で有用です。例えばF-15やF-16、F/A-18などといった戦闘機に搭載される20mmバルカン砲は連射速度が非常に高いのが特徴です。高速飛行するジェット戦闘機が地上目標を攻撃する場合、射撃のチャンスはごく短時間、通常0.5秒程度しかありません。しかし、この短時間でもバルカン砲は最大50発もの弾丸を発射できるのです。射撃時、弾は数十mから100mの範囲で散布され、目標地域を効率的に制圧します。
こうした地上制圧の用途に特化した象徴的な存在と言えるのが、A-10攻撃機が搭載するGAU-8「アベンジャー」30mm機関砲でしょう。
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