「幻になるかもしれないブッ飛び設計の飛行機」なぜ? 1回・8分だけ飛行→「ポシャるかも…」ナニがあった?

型破りな胴体形状が特徴の完全電動飛行機「アリス」は2022年、初飛行に成功しました。このときの飛行時間は8分だったとのこと。しかし、この機体が再度飛ぶ日は、もう訪れないかもしれません。どういった理由からでしょうか。

600機以上の受注を獲得も…

 アメリカのスタートアップ企業、Eviation社は2022年、型破りな胴体形状が特徴の完全電動飛行機「アリス」の初飛行に成功しました。このときの飛行時間はたった8分だったとのこと。そして、この機体が再度飛ぶ日は、もう訪れないかもしれません。どういった理由からでしょうか。

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「アリス」(画像:Eviation)。

「アリス」の全長は17.4m、全幅19.2m。胴体は翼の生えた魚のような、独特な形状をしています。旅客機としては9席を設置することができるとのことで、旅客1席あたりの占有面積も広く確保されているとのこと。最大航続距離は815km(440海里)としています。

 この機においてもうひとつ特徴的なポイントとしてあげられるのは、推進装置です。胴体後部に2発の電動プロペラを備えています。内燃機関などによる発電装置を持たないため、二酸化炭素排出をゼロにできるほか、従来のエンジンより騒音を抑えられるとのこと。さらにこの配置にすることで、従来より騒音を抑えられるともしています。

 Eviation社は「アリス」を「史上初の完全電気飛行機」と称しました。実際、電気を動力源とする飛行機は世界各国で開発競争が進んでいるなかで、「アリス」はそのなかでも先んじて実際にフライトしたモデルのひとつです。

「アリス」の初飛行に成功したあとの同社は、当局承認の取得や量産に向け、2024年に設計の確認・見直しに相当する「デザインレビュー」を完了させました。このときの設計は初飛行に成功した試作機とくらべて、胴体が一般的な民間機に近づいたものの、特徴的なエンジン配置などは引き継がれています。

「アリス」はすでに顧客からの受注を獲得していました。しかし2025年2月、Eviation社が従業員の大半を解雇し「アリス」の開発を一時的に停止したと、複数の海外メディアが報じます。この開発停止は戦略的機会を模索するためと同社はコメントを出しており、あくまで一時的なものとしています。なお、「アリス」はニュージーランド航空をはじめとした顧客から、すでに600機以上の受注を獲得しています。

 とはいうものの、たとえば三菱航空機「三菱スペースジェット」の場合、受注を獲得し、さらに初飛行に成功したものの、開発遅延を繰り返し、2020年に「一旦立ち止まる」といったコメントとともに開発の大幅な縮小をしたのち、2023年に開発終了となりました。こうした例にもあるように、飛行機の開発では一時停止からそのまま開発自体を断念するケースも珍しくありません。

 もし、「三菱スペースジェット」と同じパターンになってしまった場合、「アリス」は”8分だけ飛んだ幻の異形機”となってしまいそうです。

【写真】これが「幻になるかもしれないブッ飛び設計の飛行機」全貌です

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