山陰初の「二刀流座席」搭載! “どっかで見たことある顔”な地方私鉄の最新電車 一畑8000系 じつは“新快速の遺伝子”を持つ!?
「ばたでん」の愛称で親しまれている島根の私鉄「一畑電車」で新型車両8000系デハ8000形がついにデビュー。映画『RAILWAYS』第一作で主役を張った先輩格のデハニ50形をリスペクトしたという、山陰最新鋭の電車とはどのようなものでしょうか。
「JR四国顔」でも中身には“新快速の遺伝子”が宿る!?
今回の新型車8000系の基本設計は前述した通り2016年から導入された7000系ですが、そもそも、この7000系のもとになった車両は、JR四国の7000系です。そのため3車種とも顔が似通います。

JR四国の7000系は、単行運用ができる直流形の高性能電車として、JR東日本など他社からも注目されていました。一畑電車もこの7000系に着目しJR四国へ相談したところ、設計情報を無償で提供・バックアップしてもらったそうです。その好意に感銘し、感謝の意を込めて7000系を冠したという経緯があるといいます。
8000系には車両側面に3つの片開き式乗降扉がありますが、中央の扉だけ窓が大きくなっています。これは、設計のルーツであるJR四国7000系で、その部分が両開きの乗降扉となっていることの“名残”といえるもの。一畑7000系では、この側面中央の扉は車いす用の非常扉となっていますが、8000系はデュアルシートを設置したため、さらにワイド窓としたとそうです。
また、8000系の顔はライト周りなどが、なんとなくJR西日本の新快速などで使われる225系電車を彷彿させます。これは、8000系の製造会社がJR西日本の子会社・後藤工業(鳥取県米子市)であるための“大人の事情”だとか。このほか、走行機器も225系を基本設計に起用しており、意外と勾配が多い同線の線路事情に対応しているといいます。
8000系による置き換え対象である5000系(元京王5000系)は、1月に5010編成が引退していますが、今後、5009編成「しまねの木」なども8000系への置き換えが予定されています。
Writer: 坪内政美(スーツの鉄道カメラマン)
1974年生まれ、香川県在住。いつでもどこでもスーツで撮影に挑む異色の鉄道カメラマン・ロケコーディーネーター。各種鉄道雑誌などで執筆活動をする傍ら、予土線利用促進対策協議会のアドバイザーやテレビ・ラジオにも多数出演するなど、鉄道をワイフワークに活動している。著書に「鉄道珍百景」「もっと鉄道珍百景」「駅スタンプの世界」「100万キロを走ったセドリック」(いずれも天夢人刊)がある。
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