「ニンジャ・ブレード」がシャキーンと展開!「爆発しないミサイル」ついに存在が公に

ミサイルといえば、着弾して爆発しその破片などで周辺を加害する兵器というのが一般的ですが、アメリカ空軍のR9Xは弾頭(爆薬)の代わりにブレード(刃)を備えるといいます。そのような特殊なミサイルが遂に実戦投入されました。

時代はミサイルで「暗殺」

 2025年3月1日付の軍事専門メディア「The War Zone」によると、アメリカ軍は対テロ作戦に使用される特殊兵器AGM-114R9X、通称「ニンジャ・ブレード」の運用映像を、初めて公開したようです。

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AGM-114 R9X「ヘルファイア」。その形状や暗殺という目的に特化していることから「シュリケン」など忍者にまつわるニックネームで呼ばれる(作画:小野さゆり)。

 本映像には、アルカイダ系テロ組織の幹部が乗車中の自動車を標的とした攻撃の瞬間が収められており、爆発を伴わない精密な殺傷能力を持つR9Xが、目標を正確に排除する様子が確認できます。この発表により、従来は都市伝説のように語られてきた「刃を持つミサイル」の実態が、ついに明らかとなりました。

 R9Xは、米軍が長年運用してきたAGM-114「ヘルファイア」ミサイルを改良した特殊兵器です。その最大の特徴は、従来のミサイルのように炸薬を搭載せず、爆発による破壊を伴わない点にあります。

 一般的な「ヘルファイア」は高性能炸薬を用いた強力な破壊力を誇りますが、R9Xは爆薬の代わりに6枚の鋭利な刃を搭載し、目標に直撃する直前に刃を展開することで、標的を正確に切断します。この特異な構造により、「ニンジャ・ブレード」「シュリケン」「クナイ」などの非公式な異名を持つに至りました。

 この技術は一見、過剰な殺傷能力を追求したもののように思えます。しかし、実際には、従来の爆発型ミサイルと比較して「人道的」ともいえる側面を有しているようです。

 通常のミサイルは、炸裂すると大量の破片を高速でばらまくことで広い範囲を攻撃しますが、R9Xは爆発を伴わないため、周囲への被害を極限まで抑えることが可能です。この特性により、人口密集地に潜む目標に対してピンポイントで攻撃を加えることができ、民間人や無関係の市民などの巻き添え被害を限りなくゼロに近づけることが可能です。

 対テロ戦争においては、標的が都市部や民間施設の近隣に潜伏しているケースが多く、従来型のミサイルでは標的の排除と同時に多数の民間人犠牲者を生むリスクが高まります。この問題に対処するため、アメリカ軍はR9Xを極秘裏に開発し、非戦闘員への被害を最小限に抑えつつ、目標だけを正確に排除する能力を獲得しました。

【画像】日本も保有! 自衛隊ヘリから「ヘルファイア」発射の瞬間

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