機体紛失=怒られる←探し回る方がキケンでしょ!「ドローン」巡る軍中央と現場の温度差

戦場において重要な地位を占めるまでになったドローン。果たしてこれは「消耗品」でしょうか「装備品」でしょうか。兵器としては圧倒的に安価であり、最前線へ投入されるために消耗も激しいですが、軍は装備品、すなわち財産と見るようです。

軍隊が厳格に数合わせするワケ

 アメリカ国防総省の基準では、5000ドル(日本円で約75万円)以上の装備品は「非消耗品」、すなわち財産=装備品として帳簿に記載する必要があります。ドローンには多種多様な種類と用途がありますが、アメリカ陸軍では「無人航空機(UAV)を失ったり、墜落させたり、破損させたりした場合、全面的な調査を行い、調査官を任命しなければならない」と規定されています。

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塹壕で、砲弾を抱えたFPVドローンの発進準備をするオペレーター(画像:ウクライナ陸軍第28旅団)

 この規則のため、ドローンは「空飛ぶFLIPL(物品損失の財務責任調査)」と揶揄されることもあります。これは財務調査(FLIPL)によって過剰に管理されることへの皮肉です。ドローンは元々、損耗覚悟のリスキーな飛行を行うことが期待されているのに、ドローンオペレーターたちは失敗した際に調査を受けることを恐れ、リスキーな飛行を避ける傾向があります。加えて、調査費用が機体の価格を上回ることもあり、本当にそのコストに見合うのかという声まであがっています。

 一方、免責を申請できる規定もあります。ドローンの紛失、墜落、損傷が故意ではなく、かつ機密性が低く、その機体単価が1万ドル(日本円で約150万円)以下であれば、中佐相当の権限で申請できるようにしています。また、25万ドル(日本円で約3750万円)以下のドローンなら大佐相当の権限で申請が可能です。ただし、それ以上の価格帯や機密性の高い機体の場合、調査は避けられません。

 この厳格な管理体制の背景には、2011(平成23)年のイランで、当時まだ高価で機密性の高い「装備品」だった無人機が、敵の手に渡ってしまったという過去があります。

大失態のトラウマ 大嫌いな国に捕らえられたアメリカの無人機とは(写真)

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