「海自の最新ステルス艦」が1隻でわざわざ豪州まで行く必要あります?←行くと行かないじゃ“大違い”なんです。買ってもらうには!
海上自衛隊の護衛艦「のしろ」が、オーストラリアのパースに寄港しました。これは護衛艦輸出のためのアピールが目的。そのためにわざわざ豪州まで派遣する意味は――行くと行かないでは大違いなことは、過去の事例が証明しています。
安倍政権では相当ムリしたことも!?
振り返ると、2017年6月に開催されたパリエアショーには、やはり輸出商戦を有利に進める目的で、海上自衛隊のP-1哨戒機が1機参加しています。

当時フランスは同国航空宇宙軍の運用している「アトランティック2」哨戒機の、またドイツも同国海軍が運用している「P-3C」哨戒機の後継機導入をそれぞれ検討していました。両国にアピールするため、防衛装備品の輸出に積極的だった安倍政権の肝いりで、P-1はパリエアショーに参加することになったわけです。
2017年の春から初夏にかけて、P-1は小さなトラブルに見舞われており、飛行可能な機体は数機しかありませんでした。このため海上自衛隊はパリエアショーへの参加を渋っていたようなのですが、故安倍首相の強い要望には抗えず、2機のP-1を派遣すれば、どちらか1機はパリまでたどり着けるだろうと考えました。
2機のうち1機は給油のため着陸したインド洋のディエゴガルシア島でトラブルに見舞われ、パリまでの飛行を断念。パリエアショーでは1機のみが地上展示されることとなりました。
筆者はこの2017年パリエアショーの取材を行っていますが、パリ到着前にこの話を聞いていたため、「そこまで無理をしてP-1がパリへ行く必要はあるのだろうか?」と思っていました。
パリエアショーは月曜日から金曜日まで、軍人や航空宇宙業界のビジネスマン、メディア関係者などを対象とする「トレードデイ」と、土・日曜日の一般見学者を対象とする「パブリックデイ」から構成されています。筆者はトレードディで会場を訪れていた来場者、すなわち「プロ」の方々にP-1の感想を聞いてみたところ、おおむね次のような話を耳にしました。
「日本が国産哨戒機を作ったことは知識としては知っていた。しかしこうしてパリまで飛んできたP-1をこの目で見て、失礼かもしれないが、日本が高性能な航空機を作る力を持っている国であることを実感できたし、日本の航空機や航空産業に対するイメージも、ポジティブな方向に変わった」
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