「このヘルメット本当に安全なの?」ネット販売の“自転車用”を、国民生活センターが調査した結果
国民生活センターがインターネット通販サイトで販売されている自転車用ヘルメットを抜き打ちで性能確認。欧米の基準適合を示すマークがありながら、実はそこにも適応していない製品の存在を明らかにしました。
安全基準マークに頼らなくても、安全性能を見極められる5つの視点
自転車用ヘルメットの場合、安全基準に頼らなくても、商品の画像などである程度見極めることができる「外形上の主な注意点」があると、国民生活センターは話します。外見上のNGポイントは4つです。

(1)ヘルメットの内側全体に衝撃吸収層がついていない
(2)あごひもの幅が15mm以下、あごひもにチンカップが付いている
(3)あごひもが取り外し可能 確実に取り付けられていない
(4)帽子のひさし部分のようにつばが広く、着用時に視野が隠れる
自転車用ヘルメットの中には帽子タイプもありますが、発泡スチロールなどの衝撃吸収層が内側全体にないと、地面などに頭部が衝突した場合のショックを受け止められません。折りたたんで持ち運べることに配慮してウレタンパッドだけという製品では衝撃吸収性が低いです。
また、ヘルメットの帽体以上にあごひもは重要です。衝撃時にあごひもは伸びるので、それに耐える強度と首への衝撃を和らげるために15mm以上の幅のあるベルトのようなあごひもで構成されている必要があります。さらに、あごひもは帽体に固定されていること。ひも状のあごひもだったり、首にかかるのを防ぐためにチンカップが付いていたりする製品は、事故時に簡単に脱落してしまうため、自転車用ヘルメットには適当ではありません。
さらに、帽子タイプでも、サンバイザーのようにつばが広く、視野が隠れてしまうデザインはヘルメットとしての安全性が低いとみなされます。「顔中央の垂直軸から左右それぞれ105度の視野の確保が必要」と国民生活センターは話します。
国内には法令基準はありませんが、第三者認証型のJISマークやSGマークがあります。また、日本自転車競技連盟も公認推奨基準を定め、第三者認証を行っています。
「こうした国内のマークが付いた商品を選択することが妥当です」(前同)
自転車用ヘルメットの装着は努力義務なので、かぶらないことで法令違反に問われることはありません。しかし、事故の賠償ではケースによって過失割合を問われる可能性が考えられます。自転車ヘルメットでも確実な安全性が得られるモデルと、そうでないモデルがあることに注意が必要です。
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
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