米の次世代戦闘機「F-47」なぜいま発表? 「既存機じゃ中国に勝てない」が“表向きの理由”か 真の意図を読み取る
トランプ大統領が次世代戦闘機「F-47」の開発契約締結を発表。なぜ今、計画を具体にしたのでしょうか。直前には中国を念頭に置いた報告書も出されていますが、トランプ氏を急がせた“裏の理由”がありそうです。
ここにも“あの男”の影が?
ヘグセス長官はF-47について「同盟国に対して、我々はどこにも行かないという直接的で明確なメッセージを送るものだ」と述べています。

トランプ政権のロシア寄りに見えるウクライナ和平調停や、カナダ、グリーンランドの併合発言などで、NATO(北大西洋条約機構)加盟国の間には、アメリカに依存せずに自国軍の兵器を導入しようという考え方が浮上しています。
その一環としてNATO加盟国では、アメリカが開発を主導したF-35の導入を見直す「F-35離れ」とでも言うべき現象も起きています。F-35の調達を公式に否定したNATO加盟国は、導入契約に至っていないポルトガルだけで、契約締結済みの国が契約を破棄する可能性は低いと考えられます。しかし締結国のデンマークでは、ラスムフ・ヤルロフ国防委員長が「F-35Aの導入決定に関与した一人として後悔している。アメリカ製兵器の導入を国防上のリスクだ」と述べるなどと、その波紋は広がっています。
3月24日付の韓国の新聞「中央日報」は、トランプ政権の一員となったイーロン・マスク氏への反感から不買運動が起こっている電気自動車メーカー「テスラ」になぞらえて、「F-35が新たなテスラになるだろう」という見方があることを紹介しているほどです。
GCAPで開発される有人戦闘機は早くても2035年、FCAS/SCAFは2040年代の実用化が見込まれています。F-47がトランプ大統領の任期中に製造と部隊配備を開始することができれば、アメリカの持つ戦闘機の開発・製造能力の底力をNATO加盟国に見せつけることができるでしょうし、それによって「F-35離れ」「アメリカ離れ」に歯止めがかけられるという狙いから、アメリカはこのタイミングでF-47を発表したのではないかと筆者は思います。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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