世界初の「新燃料船」実証が完了! “燃やしてもCO2出ない”でも“毒性は強い”どう克服? アンモニア燃料船

日本郵船が世界初となる商用「アンモニア燃料船」の実証航海を終えました。今回は小さなタグボートですが、近く大型船も実現します。燃やしてもCO2が出ないアンモニア、人体への“毒性が強い”というデメリットはどう克服したのでしょうか。

「毒が強い」を克服

「魁」はもともと、2015年8月に日本郵船グループの京浜ドック追浜工場(神奈川県横須賀市)で竣工した日本初のLNG(液化天然ガス)燃料タグボートでした。これをアンモニア燃料船へと改造したのです。

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式典の様子。中央が菅 義偉元首相(深水千翔撮影)。

「LNGタグボートで培った知見やノウハウが、その後の当社におけるLNG燃料船隊の拡大へ活かされており、ひいては海運産業の脱炭素化への道しるべとしての役割を果たしてきた。今後、普及増大が見込まれるアンモニア燃料船でも『魁』は同様の役割を担っていくことが期待されている」(曽我社長)

 アンモニア燃料船への改造のため2023年10月に追浜工場へ入渠した「魁」は、IHI原動機が開発した国産4ストロークアンモニア燃料エンジンやアンモニア燃料タンク、燃料供給設備などを搭載し、2024年8月に竣工しています。

 その後、同年11月までアンモニア燃料船として世界初となる実運航中の実証試験、解析を行い、重油使用時と比較して最大約95%の温室効果ガス(GHG)排出量削減を達成。アンモニアが舶用燃料として有用であるとことを証明しました。

 こうして生まれ変わった「魁」のカラーデザインはLNG燃料船時代から大きく変わり、船体に青色が多く使われています。同船の外観上の特徴としてブリッジの後ろ側に、大きな煙突が搭載されており、操船時に後方の視界を確保するためカメラとモニターが操舵室内に設置されました。

船上には触媒が入った排ガス後処理装置が置かれており、アンモニア燃料エンジンから出た排気ガス中の亜酸化窒素(N2O)や窒素酸化物(NOx)などを無害化しています。

 アンモニアは人体の粘膜に対する刺激性が高く、短期間で気道や肺に重大な損傷を引き起こします。そのため配管の二重化やパージ装置(ガスの置換装置)の設置など、乗組員を守る設計をしっかり行ったうえで、アンモニア燃料運転時に機関室へ立ち入りができないようにするための工夫を施しました。

【写真】煙突がスゴイ…「世界初の新燃料船」

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