高速船から大砲ドーン!陸でもドーン!? 異形すぎる「どこでも迫撃砲」を離島防衛に使う国とは?
陸上自衛隊が「離島防衛」の専門部隊を設立するなど、態勢整備を進めています。しかし、実際の作戦を考えた場合、不足感が否めないのが火力支援能力です。その解決策になり得る装備が、北欧の軍隊にありました。
コンテナ…かと思ったら迫撃砲! どこでも使えちゃう!?
迫撃砲による間接射撃は攻撃目標の捕捉と、射撃によって相手に与えた損害の評価が難しいのですが、NEMO Navyはドローンを利用して、迅速に目標の補足と攻撃効果の評価を行う機能を備えています。

自衛隊の水陸機動団もこのような高速攻撃艇による、火力支援能力の向上も検討していくべきではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。とはいえ、陸上自衛隊はもちろん、海上自衛隊も対地攻撃用の高速攻撃艇を運用した経験がありませんから、これは将来の検討課題だとは思います。
ただ、NEMOを利用して火力支援能力を高める手段は他にもあります。
自衛隊海上輸送群には、人員や物資を離島に展開させる上陸用舟艇「機動舟艇」の配備が決定しています。日本のJMU(ジャパン・マリン・ユナイテッド)とイギリスの船舶設計企業BMTが共同で建造する機動舟艇は全長約30m、全幅約8mの小型艇ですが、貨物の収容スペースを大きく取れるデザインを採用しており、陸上自衛隊の重量級車両でも2両の搭載が可能となっています。
そこで使えそうなのが、パトリアの開発した「NEMOコンテナ」です。
これは文字通り、NEMOのシステムを、20フィート(約6m)のコンテナに収容したもので、コンテナは複合装甲または圧延鋼板によって装甲化されており、内部には100発の砲弾が収容できます。NEMOコンテナには発電装置やエアコン、NBC防御システムも装備されており、パトリアはNEMOコンテナの用途の一つとして、基地などの拠点防御を挙げています。
前に述べたように陸上自衛隊は南西諸島に駐屯地を新設していますが、この新たな駐屯地の防御力強化も課題となっています。平時はNEMOコンテナを駐屯地に置いて、駐屯地の拠点防御力を強化し、必要に応じて機動舟艇へNEMOコンテナを搭載して、臨時の火力支援艇として使用すれば、南西諸島の防衛力はより強固なものになるのではないかと筆者は思います。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
これほんとに迫撃砲?