日本の車を「白・黒・灰・銀」ばかりにした真犯人カーとは? 昔のほうがカラフルでしたよね?
日本のクルマは白、黒、灰、銀の4色がほとんど。しかし昔はもっと色のバリエーションがありました。時代によって流行は異なりますが、歴史を振り返ると、この4色ばかりになるキッカケをつくった「真犯人カー」があるようです。
「高級車」の色、「エコカー」の色
それが昭和のベストセラーカー「カローラ」です。カローラは1969年から2001年まで、33年連続の国内販売年間ナンバー1を守り続けたクルマですが、ベストセラーカーだからこそ、流行には敏感です。

たとえば、1987年に登場した6代目「カローラ」の当時のカタログの冒頭に登場するのは、スーパーホワイトに塗られた車体です。ちなみに、同年登場の8代目「クラウン」もカタログのトップはスーパーホワイトでした。
ところが、1991年の7代目「カローラ」になると、ボディカラーはシルバーに近いライトベージュとなります。9代目「クラウン」もダークグリーンとウォームグレーパールがイメージカラーとなっていました。80年代のスーパーホワイトから、少し距離を置いていることが感じられます。
そんなスーパーホワイトの代わりに増えてきたのが、黒のボディカラーです。黒が似合うのは、高級車です。
1980年代終盤はバブルと呼ばれた好景気であり、90年代初頭にかけて、日産「シーマ」や、トヨタの「クラウンマジェスタ」や「セルシオ」といった高級車が数多く誕生しました。また、2002年に高級ミニバンとして「アルファード」「ヴェルファイア」が誕生します。高級化したミニバンの登場も、黒いボディカラーが増える理由の一つと言えるでしょう。
そして、銀や灰色も1990年代以降に増えたカラーです。銀や灰色のボディカラーは、汚れが目立たないというメリットがあり、また、寒色系から暖色系までの幅広い色味によるバリエーションの多さも特徴です。
2000年代終盤から2010年代に入ると、トヨタの「プリウス」がベストセラーになりましたが、こちらのイメージカラーは銀。このヒットによってシルバーの比率が高まったのは間違いありません。
振り返ってみれば、白の流行が先にあり、それにストップをかける格好で、黒や銀、灰色が増えてきたというのが日本のボディカラーの歴史です。ちなみに、近年はグローバル化が進んだためか、世界的にも白、黒、灰色、銀が人気カラーとなっています。紆余曲折がありつつも、世界のトレンドは同じ方向に進んでいくのかもしれませんね。
Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。
コメント