ついに建造スタート 海自の新装備「哨戒艦」そもそも護衛艦とはドコ違う? 進水→就役も早い!

防衛省の新艦種「哨戒艦」の建造が神奈川県の横浜市で2025年2月から始まりました。哨戒艦はこれまで海上自衛隊になく、どういうコンセプトを求めた船なのか、スペックなどとともにひも解きます。

多用途性と徹底した省人化が特徴

 JMUが提案した哨戒艦のデザインは、ステルス性を考慮したと推察される角型船型が特徴です。基準排水量は1920トンで、全長は95m、最大幅は12m。機関はディーゼル電気とディーゼルの複合推進(CODLAD形式)を採用し、最大速力は約20ノット(約37km/h)以上となっていきます。

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JMU横浜事業所の外観(深水千翔撮影)。

 武装は、艦首に30mm機関砲1門を装備。艦尾にはヘリコプターの着艦も可能な多目的甲板を備えるほか、USV(水上無人機)やUUV(無人水中航走体)のような機材の運用を想定したと見られる艦尾揚収装置や多目的格納庫、多目的クレーンも確認できます。艦首喫水線下にはバウスラスターが装備されていますが、これがあるとタグボートの力を借りずに出入港が可能なため、十分な設備がない港でも利用可能です。もちろん波の荒い外洋で行動することを前提としているため、横揺れを抑えるための減揺タンクも備えています。

 このため、広い甲板を活用して多用途支援艦のように「海上自衛隊の便利屋」のような活躍もしそうです。

 乗員数は約30人。汎用護衛艦である「あきづき」型(基準排水量5050トン)の約200人、FFMの「もがみ」型(同3900トン)の約90人よりはるかに少なく、数だけでいえば「ひびき」型音響測定艦(同2850トン)や「ひうち」型多用途支援艦(同980トン)の約40人と同程度です。

 これは哨戒艦が洋上の警戒監視をメインに運用する艦種であるため、人員を減らしても十分な能力を発揮できると判断されたためで、それらを支える自動で離着岸することが可能なシステムや、防火装置の遠隔化など省人化に対応した機能を盛り込む予定です。

【画像】これが防衛省が公開した哨戒艦の概要/イメージです

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コメント

1件のコメント

  1. 形態が護衛艦に似てるだけに、水上戦闘艦と勘違いされて兵装が弱いと批判されるのが残念です。

    哨戒艦に重要なのは省人化による居住性や拡張性・多用途性で、海自の新型哨戒艦はその条件を満たしていると思います。

    三菱重工が提案していたもがみ型縮小版の様なFMF-OPVの方がカッコ良かったですね。