在来線版「ドクターイエロー」、医療技術が向上 やはり会えたら幸運? JR東海

なぜディーゼルカーにパンタグラフ?

「ドクター東海」が「電車」ではなく「ディーゼルカー」である理由は、「どこでも走れるから」です。JR東海管内には架線があり「電化」されている路線以外に、架線がない「非電化」の路線も。「電車」が走れるのは電化路線だけですが、「ディーゼルカー」ならどちらも走れる、つまりどの路線でも使えるため利便性が高いのです。

 しかしこうした検査用の車両は、電化区間では「電力関係のチェック」も任務。そのためディーゼルカーながらパンタグラフを搭載し、架線などの検査もできるようになっているのです。走行に電気が必要なわけではありません。

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架線やパンタグラフの状況を監視できる「ドクター東海」の「架線観測ドーム」(2016年5月、恵 知仁撮影)。

「ドクター東海」の車内には「架線観測ドーム」が備えられており、目視でパンタグラフと架線の状況を確かめられるほか、監視カメラなどを装備。トロリ線(架線のうちパンタグラフと接触している電線)の摩耗具合や、上下左右方向へのずれなどをチェックすることが可能です。

 走行中、「架線観測ドーム」から架線を眺めると、パンタグラフがトロリ線から離れず追従するよう、上下に伸縮しているのがよく分かりました。また、トロリ線が左右に移動するように見えました。

 トロリ線は上から見ると、実はまっすぐではなく、柱ごとに左右へずれる形でジグザグに張られています。まっすぐだとパンタグラフの一部分だけがすり減ってしまうので、ジグザグにして、まんべんなくパンタグラフがすり減るようにされているのです。そのため走行中の列車からパンタグラフを見ると、トロリ線があたかも左右へ移動しているかのように見えます。

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左のモニターに映るのが、架線をチェックするカメラのもの。従来は右下の映像のみだったが、機能向上で左右からも架線を確認可能に(2016年5月、恵 知仁撮影)。

 また「ドクター東海」は今年、2016年4月に機能の向上がはかられ、パンタグラフ部分にカメラを増設。合計4台で架線を死角なくチェックし、使っている金具などの状態についても走りながら確認できるようになったそうです。

 さて、一般的な鉄道車両は1両の両端に「台車(車輪のある部分)」がひとつずつあり、車体を支えていますが、「ドクター東海」には、台車が1両にみっつもある車両が存在します。これもまた、「ドクター東海」らしいところのひとつです。

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コメント

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2件のコメント

  1. Dr東海さんは検査をするだけで医療行為と認めうる保線作業や修繕は行いません。「医療技術が高度に」というはちょいと違うんじゃないすか?

  2. 厚労省や、消費者庁からおとがめがくるかもしれません。
    検査技術なら汎用性があります