自衛隊機などに付与された“謎の番号” カオス極めしその意味って? わかりづらいがこれも戦略
日本の空を守っている航空自衛隊の航空機が付けている6ケタの数字。これは、一体どのようなことを表すのでしょうか。
機体番号がわかり易いと実は問題?
ハイフンを挟んで4つの数字の一番前は機種区分と呼ばれます。これは、「その機体が主に何に使用されるか」の任務によってきめられています。例えば輸送機は「1」、ヘリコプターは「4」、戦闘機は「8」といった具合です。

最後の3ケタは製造順番を表しています。前の4つの数字が航空機に与えられた「属性」のようなものだとしたら、この最後の3桁は「名前」といえるものです。この3桁の数字は、コクピットの下や場合によってはランディングギアカバーにも描かれています。
この数字は、その名の通り製造された順番を表していますが、そのスタートがすべて001なわけではありません。F-15Jは801~、F-15DJは051~、F-2Aは501~などとスタートの番号が定められています。
ここで最初の問題に立ち戻ってみましょう。2016年に納入されたF-35Aと2026年に納入されたF-35Aの頭の数字は同じ「6」です。F-35を表す数字は「9」、戦闘機を表す番号は「8」で、ここまではすべて同じになります。
ただ最後の3桁の数字を見れば2016年導入か、2026年導入かは一目瞭然です。納入の機数にもよりますが、番号は10年間で、かなり進んでいるはずです。ただし、F-35の最初の導入年数などを知っておく必要があります。ちなみにF-35Aの製造番号は701からスタートしています。
これが航空自衛隊の航空機の番号が示す情報になります。では、なぜわざわざ、このような面倒な数字の列が必要なのでしょうか。
独自の番号を当てはめて、製造番号すらスタートが途中からになっており、「どう考えても、わかりにくくしているようにしか見えない」と考える人もいるかもしれませんが、実はその通りで、わざと分かりにくい番号を付与しているのです。
というのも、その国に航空機が何機あるのか、どこの基地に何機配備されているのか、どのくらい稼働しているのか、という情報は、国防にかかわる大きな機密事項のひとつになります。
航空自衛隊では各飛行隊がどこにあるかは公表しているものの、その飛行隊に何機の航空機が配備されているかまでは、2025年現在も公表していません。そのため、通し番号を航空機につけるなどすると、機体がどこに何機いるかがわかってしまうため、あえて暗号のように、番号をわかりにくくしているのです。
これは世界各国の空軍機に共通しており、場合によっては、さらにわかりにくくするため、部隊で改めて番号を付けなおすことや、見えやすい場所からは、番号を消してしまう国もあります。機体の状態を管理したり、飛行状況を確認するためには非常に重要な機体番号ですが、それが悪用されないために、さまざまな工夫が必要なのです。
Writer: 凪破真名(歴史ライター・編集)
なぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。
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