自衛隊の護衛艦の中に実在の「まさかの施設」とは 乗組員しか入れないが戦前からある! しかも管理は “艦長もち”

海上自衛隊の多くの護衛艦の内部には、神社があることをご存じでしょうか。実は戦前の旧海軍から受け継がれています。小さいながらも神様が祀られており、祭日には盛装した艦長や幹部がお参りすることもあります。この習慣、

船霊の信仰がルーツの艦内神社

 海上自衛隊の多くの護衛艦の内部には、神社があることをご存じでしょうか。小さいながらも神様が祀られており、祭日には盛装した艦長や幹部がお参りすることもあります。この習慣、実は戦前の旧海軍から受け継がれています。

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護衛艦「いずも」の艦内神社では、出雲大社を勧進している(画像:海上自衛隊)

 船に神様がおり、そのご加護にあずかる「船霊」という考えは古くからあり、航海安全や大漁祈願の対象とされていました。

 艦内に小規模な神社を作り、陸上の神社から神様を勧進して祀るという動きが、海軍でいつ頃始まったのかについてははっきりしていません。ただ、明治中期頃には艦艇に神社となる祭壇が置かれるようになり、日清・日露戦争のころには既に多くの艦艇で設置されていたといわれています。

 その流れは現在まで受け継がれており、海上自衛隊では護衛艦を中心に、艦内神社が設けられている艦艇がいくつもあります。その代表的な例を見てみましょう。

 日本海軍そして海上自衛隊の艦艇は、その名称を旧国名や山岳、河川、気象、瑞祥動物などから採用しています。そのため、同名の神社などがある場合は、その神社から勧進し、艦内に祀ることも多いようです。

 例えば、戦艦「大和」は奈良県にある大和神社、戦艦「榛名」は群馬県の榛名神社、重巡洋艦「那智」は、和歌山県の熊野那智大社を勧進して艦内神社として祀っていました。

 この伝統は海上自衛隊になっても変わらず、例えば、護衛艦「いずも」は出雲大社を勧進しています。護衛艦「かが」に関しては、艦名の由来となった地名と同じ神社ではないものの、旧国名で加賀にあたる石川県の白山比咩神社から分霊を受け、「かが神社」として祀っています。また、護衛艦「こんごう」では、金剛山葛木神社や建水分神社、金刀比羅宮などが祀られています。

 今はもう退役してしまった護衛艦「ひえい」の場合、艦内神社は東京にある日枝神社(ひえじんじゃ)になります。これは別にダジャレという訳ではなく、もともと日枝神社が京都の比叡山日吉神社の分霊を祀った神社であることに由来します。こうしたゆかりなどを追っていくと思わぬつながりを発見できたりします。

【代々「やはぎ」の艦内神社】これが、神社で岡崎市にある矢作神社です(写真)

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