『紅の豚』に出てきそう!? いかにも「古そうな複葉飛行艇」が第二次大戦で引っ張りダコだったワケ「空母にも発着できます!」
海面や湖面など水上でも発着できる性能を持つ飛行機、それが水上機や飛行艇です。水上発着のため大きなフロートを備えていますが、なかには車輪だけでなく着艦フックまで備えて空母の狭い飛行甲板に発着できたものもありました。
「シーガルV」改め「ウォーラス」に
1921年、ミッチェルは偵察飛行艇「シーガル」を開発します。同機は名目上こそ偵察飛行艇でしたが、実際には偵察だけでなく弾着観測、救難、軽輸送、対潜哨戒と、艦載機に課せられるほとんどの任務に対応可能で、まさに汎用飛行艇と呼べる機体でした。しかも、堅牢でシンプルな構造のため整備も簡単で、整備施設や整備兵の技量に限界がある軍艦の上でも使い勝手がよく、艦隊では好評だったといいます。

しかし1930年頃になると「シーガル」も陳腐化・老朽化が見られるようになり、その後継が必要になりました。その要望を最初に挙げたのはオーストラリア空軍でしたが、完全な新規設計の機体ではなく、「シーガル」の性能向上型を求めたといいますから、同機がいかに優秀だったかわかります。
これを受けたミッチェルは、「シーガル」とほぼ同サイズながら、全く新しい機体を開発します。具体的には、「シーガル」が木製胴体なのに対して、新型機は胴体を金属製にし、空冷星型9気筒エンジンを推進式(プロペラ後ろ向き)に搭載していました。なお、当初この機体には「シーガルV」の名称が与えられています。
1933年6月21日、「シーガルV」は初飛行に成功。このとき、同機は宙返りや曲技飛行まで行って見せて、その運動性能の高さを示したとか。また、カタパルトによる射出テストも行われましたが、これは世界初となる完全装備の水陸両用機によるカタパルト射出となりました。
これら一連のテストの結果、「シーガルV」は、1930年代半ばにオーストラリアとイギリスに採用され、セイウチを意味する「ウォーラス」へと名称が改められています。
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