「鼻血が出るほど興奮する希少車両」が奇跡的に残ったワケ レア車両揃うバス営業所の“二大看板”に乗る方法を聞いた
大都市圏で見られなくなった“ベテラン”の路線バス車両が活躍を続け、愛好家らが熱視線を送る地方バス会社があります。特に人気があるレトロバスをじっくり楽しめる“裏ワザ”を役員が指南してくれました。
“ちょいレトロバス?” 廃車に待ったをかけたのは…
それは、いすゞがシャーシ、川重車体工業(現・ジェイ・バス)が車体を製造した1980年式の中型モノコックバス「K-CCM410」です。

モノコックバスは航空機の設計技術を生かして開発され、フレームの替わりに鉄板などの外板だけで強度を得られるように設計しているのが特色です。強度を持たせるために丸みを帯びた車体にしており、鉄板の張力を高めるためにピン状の「リベット」を多く打ち込んでいます。現在主流の角ばったスケルトン構造(細いフレームで骨格をつくりボディを貼っていく方法)の前によく見られた形です。
K-CCM410は前面に大きな2枚窓を設けており、運転席からの視界が優れているのが長所です。床には木の板が敷かれており、筆者は幼少期に乗った車両を思い出しました。
山梨交通の池田常務は「この車は、現在の雨宮(正英)社長の考えで残すことが決まったのです」と打ち明けました。
動態保存されている車番「C486」(「C」は乗合バスを指す)の車両は、山梨交通が新車として購入して伊勢町営業所(甲府市)に配置したものです。小回りが利きやすい中型バスのため、道路幅が比較的狭い住宅街と甲府駅バスターミナルを結ぶ路線などに運用しました。その後、子会社だった山梨交通観光バス(現・山梨交通)に移籍して“余生”を過ごしていました。
山梨交通は同じタイプのいすゞ「CCM」シリーズを1970年代後半から80年代初頭にかけて大量導入しましたが、池田常務は「どんどん廃車にしてつぶしてしまっていた」と指摘します。「C486」も解体の瀬戸際に立たされていたところ、待ったをかけたのが雨宮氏でした。
雨宮氏は「カラーリングを塗り直し、後世のために保存するように」と指示し、山梨交通が1958―87年に採用していた旧塗装へのリバイバルが決まりました。晴れて山梨交通設立60年の節目となる2005年に“復活”し、今も山梨交通の動態保存車における二枚看板の一角を担っています。
なお、動態保存している2台はともにナンバープレートが「805」(TSD40が「山梨230 あ 805」、K-CCM410が「山梨230 う 805」)で、これは社名の略称「山交」の語呂合わせで選んだ「希望ナンバー」だそうです。
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