「超音速の巨大爆撃機」B-1「ランサー」配備から40周年を迎える 核攻撃前提だったのに途中で役割転換

B-1B「ランサー」配備されてから40周年を迎える。

全機の退役は2036年頃

 アメリカ空軍は2025年6月5日、テキサス州ダイエス空軍基地にB-1B「ランサー」初号機が配備されてから40周年を迎えたと発表しました。

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B-1B「ランサー」(画像:アメリカ空軍)

 B-1Bの初号機は「スター・オブ・アビリーン」の愛称で知られ、1985年6月29日にダイエス空軍基地へ納入されました。

 アメリカ空軍で最大の通常兵器搭載量(誘導・非誘導兵器の両方)を誇る多任務型爆撃機であるB-1Bは、最高速度マッハ1.25、胴体中央に配置された3つの爆弾倉には、最大で約34トンの各種兵装を搭載することが可能です。

 配備当初、B-1Bはアメリカの長距離爆撃戦力の中核として、世界中の任意の地点へ即時に核攻撃を加える能力を持つB-52ストラトフォートレスの後継機として、核攻撃を前提とした超音速戦略爆撃機として開発されました。

 しかしその後、アメリカが戦略兵器削減条約(START)に署名したことを受け、核攻撃の任務はB-52とB-2に引き継がれ、B-1Bは多用途な通常兵器運用機としての役割に転換されました。これにより、共同部隊との連携を前提とした柔軟な戦力として再定義されました。ただし、その優れた高速性能と大量の通常兵器搭載能力により、B-1Bは依然として貴重な戦力として評価されています。

 1998年2月のイラク空爆「砂漠の狐作戦」がB-1Bの初の実戦投入となり、以降はアフガニスタンなどへの展開を通じて、地上部隊支援のための爆撃やミサイル攻撃を実施してきました。

 第28爆撃飛行隊の司令官、ブライアン・ガイエット中佐は、まもなく配備40周年を迎えるB-1Bについて「何十年もの間、我々の長距離打撃能力の基盤でした」と評価。また、「B-1の正式訓練部隊として、過去40年にわたる誇り高い作戦の歴史を継承し、世界最高のパイロットを育てていることに誇りを感じています」とコメントしました。

 なお、B-1Bは将来的に、現在開発中のB-21「レイダー」によって段階的に置き換えられる予定です。全機の退役は2036年頃と見られています。

【画像】これが初号機…B-1B「スター・オブ・アビリーン」納入式の様子

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