「落ちそうなんだけど…」 川沿いの道はなぜガードレールすらないのか? 実際落ちてるのに
川沿いの道は十字路も少なく、快適な走行ルートとして使われることがあります。しかし、特に堤防上の道はガードレールもなく、「落ちそう」なリスクを常に抱えることも。実際にクルマが落ちても対策がされない“事情”が存在します。
もっとヤバイ「川にドボン」道路も
また河川の増水が著しく、水面が堤防の高さを上回る「越水」状態になっても、堤防そのものが削られることなく持ちこたえ、洪水による被害を最小限とすることも、堤防に求められる機能のひとつです。そのためには、越水してもその強度を保ち続けることができる構造が不可欠となっています。

もし天端の道路にガードレールがあると、越水時にガードレールはその水の圧力にさらされ、ついには流されてしまいます。
このとき、ガードレールだけが流されるのであれば堤防そのものには影響はありません。しかしガードレールが流されるときに基礎が埋まっていた部分の堤防も同時に削られると、そこに水が入って堤防そのものが決壊するおそれが出てくるのです。
ガードレールを設置していることで洪水被害を防げない事態となれば、その被害はクルマの転落とは比べものにならないくらい大きなものとなります。これらの理由から、「道路のすぐ下に人家があり、クルマの転落が直接的な人的被害につながるおそれがある」といった場合を除き、天端の道路にはガードレールが設定されないことがあるのです。
こうした天端の道路のなかでも、もっとも緊張するのは、「背割堤」と呼ばれる堤防を走るケースでしょう。
背割堤は川と川とが合流する場所で、その直接の合流を避けるよう、下流に向け川の流れと並行に細長く作られた堤防です。この背割堤を設置することで、合流による川の逆流や、増水時の氾濫を抑制することができます。
この背割堤の天端を走る道路では、増水時には道路の左右がどちらも水面となり、道路からの逸脱はそのまま川面への転落につながってしまいます。
こうした天端の道路で、とくにセンターラインのない「幅員5.5m未満の道」を安全に走るには、「クルマの左側の車輪が道路のどこを走っているか」という感覚を磨くことが重要です。それでも夜間は路肩の端が見えづらく、運転に自信のない人にはおすすめできません。
もしスマホのナビアプリが天端を走る道路を案内したら、あえてその道を進まない勇気も必要ではないでしょうか。
Writer: 植村祐介(ライター&プランナー)
1966年、福岡県生まれ。自動車専門誌編集部勤務を経て独立。クルマ、PC、マリン&ウインタースポーツ、国内外の旅行など多彩な趣味を通し積み重ねた経験と人脈、知的探究心がセールスポイント。カーライフ系、ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆なども手がける。
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