レーザー1発「うまい棒より安い!」 コスパ最強兵器の大いなる“欠点”とは メーカー「組み合わせて使って」

イスラエル企業がシンガポールの武器見本市で軍艦用のレーザー兵器を展示していたので説明してもらいました。長所は圧倒的なコストの安さ。しかし、ミサイルや砲に劣る部分もあるとか。メリットとデメリットを聞きました。

射撃でなく照射 レーザー兵器のしくみ

 レーザー兵器による攻撃は、射撃というよりも照射という表現が的確です。レーザー光は一瞬の照射では目標にダメージを与えることはできず、迎撃するには一定時間、照射し続ける必要があります。それは「アイアンビーム」も同様で、目標を破壊するには数秒から10秒程度の照射が必要です。

Large 20250612 01

拡大画像

目標にレーザーを照射する「アイアンビーム」。「ネイバル・アイアンビーム」はこれの艦載型だ(画像:ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ)。

 また、レーザー照射は対象物全体を破壊するのではなく、部分的な破壊や機能不全を起こすことでそれを無効化(ニュートラライズ)するのが目的になります。ラファエル社の担当者も「UAV(無人機)であれば翼、マルチコプターであればプロペラを破壊すれば墜落します。ミサイルであれば先端のシーカーを破壊すれば追尾能力を失って目標に命中しなくなります」と説明していました。

 ただ、レーザー兵器は低コストかつ電力さえ供給できれば無尽蔵に使えるという利点がある一方、従来の対空砲やミサイルと比べると即応性や確実性に劣る部分も多々あるようです。たとえば、ミサイルが得意とする複数目標への同時対処も、レーザー兵器の場合は照射という形で迎撃するため不可能です。

 メーカー担当者いわく「レーザー発射機は同時に複数の脅威に対応することができません。1つのレーザー照射機が1度に対応できるのは、ひとつの脅威だけです」とのことでした。

 また、レーザー兵器は大気の影響を非常に受けやすいのも欠点に挙げられます。それこそ、空気中の水分や煙などでレーザーが減衰・屈折するため、そういった点で従来のミサイルや砲より劣っています。射程やレーザーの照射時間は大気の状態で変化し、雨や霧がある場合は使用自体が大きく制限されることでしょう。

 つまり、レーザー兵器はイメージとは裏腹にデメリットも多く、従来のミサイルや対空砲に変わる夢の防空兵器にはならないのです。

【画像】まるで「ラピュタのロボット兵」みたいなレーザーの照射部

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. 目標追尾ミサイルの追尾機能潰せは、どっか飛んでくって、どこ飛んでくんだ?

    目標失ったら、自爆するのか?