潜水艦より秘密が多い自衛艦「あかし」非武装だけど任務はいったい何なのか?

自衛隊のなかでもあまり情報が公開されていない、秘密のベールに包まれた装備の一種といえるのが、海上自衛隊の海洋観測艦でしょう。非武装ながら、じつは潜水艦以上に秘匿性が高いのだとか。そのスペックや任務などに迫ります。

海洋観測艦って普段なにやっているの?

 そこで、出番なのが海洋観測艦です。同艦は平時から日本周辺海域で調査を行い、海洋における作戦環境の把握に必要な水温や塩分濃度、海中雑音、海底地形などの各種データを収集しています。集められた海洋環境データは対潜資料隊でデータの解析が行われ、各司令部や艦艇・航空機へ情報を共有します。

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2025年5月29日、山口県にある三菱重工下関造船所 江浦工場で行われた海洋観測艦「あかし」の命名・進水式の様子(深水千翔撮影)。

 今回進水した「あかし」は、防衛省の2022年度予算で建造が決まりました。基準排水量は3500トンで、全長は約113.7m、幅は約17.8m。乗組員数は約90人で、女性自衛官は最大12人まで乗艦できます。建造費は280億円です。なお、任務の性格上、最前線に出ることはまずないため、ミサイルや砲などは搭載していません。

 また同艦の就役とともに、1986年に就役した海自最古参の艦艇、海洋観測艦「わかさ」は代替・退役します。

 「あかし」は海洋観測任務のため、旋回式推進装置とバウスラスターを装備し、高い操縦性能を確保。基本的な仕様は、2010年3月に三井造船玉野艦船工場(現:三菱重工マリタイムシステムズ)で竣工した「しょうなん」に準じており、「ポッド式推進システム」が搭載されているとみられます。水中機器の敷設・揚収機能を強化するとともに、艦上における海洋環境データ処理能力の向上を図りました。一方で官給品や民生品の積極的に活用することにより建造費やLCC(ライフサイクルコスト)を低減しています。

 潜水艦を支えるために、極めて高性能な海洋観測機器を搭載する海上自衛隊の海洋観測艦。逆に言うと海洋観測艦の性能がわかってしまうと、日本の潜水艦の活動限界についてもばれてしまう恐れを含んでいると言えます。

 ゆえに、海洋観測艦は潜水艦以上の機密保持性が求められます。実際、護衛艦や潜水艦は一般公開されることがある一方、海洋観測艦の内部が公開されることがまずありません。海洋観測艦は、海上自衛隊で潜水艦以上に秘匿性の高い艦と言えるでしょう。

【形全然違う!】これが「あかし」と入れ替わりで退役予定のベテラン艦です(写真)

Writer:

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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