「艦艇」に全集中!大型商船は「作りません」 造船の街“稼ぎ”の変化が浮彫りに 三菱長崎
三菱重工業長崎造船所の新所長が「長崎で大型商船を手掛けることはない」と述べました。今後、艦艇の建造が中心となるには理由があるようです。
これからは海自向けの建造が中心に
三菱重工業長崎造船所の藤田真所長は2025年6月5日、今年4月の就任から初めての記者会見を開きました。藤田所長は、「長崎で大型商船の建造を手掛ける状況にはない」と述べるとともに、今年度内に始まるイージス・システム搭載艦や新型FFMの建造に集中して取り組む方針を強調しました。

三菱重工発祥の地である長崎造船所では、船舶の建造から火力発電プラント、防衛機器、さらに近年では航空機用エンジン部品に至るまで、多種多様な製品を手掛けています。この中で造船事業は現在、護衛艦を中心とした海上自衛隊向けの艦艇建造が行われています。
藤田所長は会見で、もがみ型護衛艦(FFM)の連続建造が進んでおり、先日、7番艦「によど」の引き渡しが完了したと報告。同造船所ではすでに9番艦「なとり」、10番艦「ながら」の命名および進水も行われています。
長崎造船所では、12番艦まで計画されているもがみ型FFMに続き、2025年度中にイージス・システム搭載艦(基準排水量1万2000トン)および、もがみ型護衛艦の発展型に当たる4800トン型護衛艦、いわゆる「新型FFM」の建造に着手します。三菱重工は2024年、イージス・システム搭載艦の1番艦を防衛省から契約額1397億円で受注。新型FFM2隻の建造契約も796億円で締結しています。
長崎造船所でイージス・システムを搭載する艦艇の新造は2008年に竣工した護衛艦「あしがら」以来となります。藤田所長は「イージス艦を久しぶりに手掛けるというところで、エラーがないよう、しっかり取り組んでいきたい」と意気込みを語りました 。
さらに藤田所長は「これまでも連続建造を続けてきたが、今後もそれが継続されることは、単に工事量を確保するだけでなく、技術を継承し人材を育てるという面でも非常に有効だと考えている」との認識を示します。
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