AI「ここに敵がいます」北欧ベストセラー戦闘機で新たな一歩 有視界外での戦闘能力を検証 その実力とは?
創作物の話ではありません。
「ケンタウルスが…敵だと言っている!」
スウェーデンの防衛企業サーブは2025年6月11日、軍用AIを開発するヘルシングとの協業により、AIエージェント「Centaur(ケンタウルス)」をグリペンE戦闘機に搭載した実験を行ったと発表しました。

5月28日から計3回にわたって行われたこの実験は成功裏に完了し、サーブはこれを「軍用機にAI機能を搭載するうえで大きな一歩」と位置づけています。
実験では、グリペンEがCentaurに操縦を委ね、有視界外射程戦闘(BVR)環境下で、Centaurが複雑な機動を自律的に実行。さらに、パイロットに対して攻撃を促す指示を出したとされています。これについて、サーブ航空部門の先進プログラム責任者であるピーター・ニルソン氏は、「これはサーブにとって重要な成果であり、AIを空中で実用化することで、当社の高度な技術力を示すものです。今後もこのAIエージェントや他のAI技術をさらに開発・洗練し、敵の進化を上回るスピードで、当社の戦闘機が優位に立つことを証明していきます」とコメントしています。
さらに、6月3日に実施された3回目の飛行では、グリペンDとのBVR環境における模擬空戦も行われました。この際には、開始距離や速度、角度などの条件を変えたり、C2(指揮・統制)データを無効にしたりすることで、Centaurの柔軟性と安定性が検証されました。
サーブは2025年中にさらに複数回のCentaurによる飛行試験を予定しており、これらの成果はスウェーデン防衛装備庁(FMV)が推進する「将来戦闘機システム」開発の一環として活用される予定です。
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