「北極海の砕氷船」いったい何しに大阪へ…? 万博だけじゃない、日本含む4か国の“重大ミッション”とは?

カナダ沿岸警備隊の軽砕氷船「サー・ウィルフレッド・ローリエ」が大阪港に姿を現しました。その寄港目的は大阪・関西万博と連動した広報活動だけではなく、ある「重大ミッション」が関連していました。

史上2度目の日本来航

 2025年6月11日から12日にかけ、大阪港でカナダ沿岸警備隊の軽砕氷船「サー・ウィルフレッド・ローリエ」の船内が一般公開されました。

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大阪港に寄港したカナダ沿岸警備隊の軽砕氷船「サー・ウィルフレッド・ローリエ」の前で記念写真を撮影する乗員ら(稲葉義泰撮影)。

 同船は1986(昭和61)年に就役したベテランです。北極圏における科学調査支援や捜索救難、さらに各種ブイの設置など、多目的に使用されています。日本に来航したのは、2024年の横浜港以来、史上2度目のことです。

 そんな北極海の砕氷船が、なぜわざわざ大阪港へやってきたのか――ひとつには、市内の夢洲で開催されている「大阪・関西万博」に合わせた広報活動があります。

 そしてもうひとつの目的が、違法漁業に対するパトロール活動です。

 現在、海洋資源に関して世界的な問題となっているのが、各国の国内法や国際的なルールに従わない形で行われる漁業活動、いわゆる「違法・無報告・無規制漁業(IUU漁業)」です。これを野放しにすれば、世界中の海で魚介類が乱獲され、水産資源の持続可能な利用が深刻な脅威にさらされます。

 そこで、環太平洋諸国が共同で実施する「ノース・パシフィック・ガード作戦」が開始されることとなったのです。これは、参加国の法執行機関などが運用する艦艇や航空機を用いたパトロール活動で、主にアリューシャン列島を含む北太平洋で主要魚種が回遊するルート上にて、違法操業漁船へ対応しています。

 国土の三方を海に囲まれ、水産資源管理に長らく力を入れてきたカナダも、同作戦に参加しています。カナダでは漁業海洋省が中心となり、同省に属するカナダ沿岸警備隊の船舶などを用いた年次の公海パトロール活動が2023年から実施されています(人員参加は2019年から開始。今回、その任にあたっているのが「サー・ウィルフレッド・ローリエ」というわけです。

 また、今回は「サー・ウィルフレッド・ローリエ」に日本の水産庁、韓国の海洋警察、そしてアメリカの海洋大気庁の担当者が乗船しており、広大な海域をカバーするにあたり欠かすことのできない、日米加韓の4か国による連携が強くアピールされています。

 ちなみに、他国の同種組織とは異なり、カナダ沿岸警備隊には法執行活動を行う権限がありません。そこで、同隊が運用する船に、その権限を有する漁業海洋省やカナダ王立騎馬警察の担当者が乗船し、いざとなれば違法操業を行っている疑いのある漁船に対して乗船検査を実施しているのです。

【でっかいクレーン付いとる!!】日本では超レアな砕氷船「サー・ウィルフレッド・ローリエ」を写真で(画像)

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