人は乗りません!「撃ってくる無人戦闘艇」韓国で初披露 日本やアジアで増殖する“海の無人機”
韓国の総合防衛企業が装備展示会「MADEX2025」にて、新型戦闘用USVを発表しました。韓国がこうした無人装備の開発を進める背景には、深刻な人口減少問題があります。同様の問題に直面する日本は、どのような状況でしょうか。
人口減少社会への切り札なるか
韓国の総合防衛企業LIGNex1(LIGネクスワン)は2025年5月28日、釜山で開催された海洋防衛装備展示会「MADEX2025」の会場で、戦闘用USV(無人水上艇)「シースウォードX」を発表しました。

防衛装備展示会で新型の装甲戦闘車両や軍用機などのお披露目が行われることは珍しくなく、筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)も海外で開催された防衛装備展示会で何度も見ていますが、USVの大々的なお披露目を見たのは、これが初めてです。
日本以上に少子化を国防上の深刻な脅威と認識していた韓国は、2000年代後半から防衛装備の無人化、省人化に取り組んでいました。LIGネクスワンのUSV開発もその一環として行われているもので、今から9年前の2017(平成29)年には、ソウル近郊で開催された防衛装備展示会「ADEX2017」において初代「シースウォード」のコンセプトモデルを発表。同社はその後も改良を続け、2021年には「シースウォード3」の洋上試験を完了しています。
シースウォードXはシースウォードシリーズの最新仕様と位置づけられており、初代シースウォードに比べると大幅に対レーダーステルス性能が向上しています。また、任務に応じてミッションモジュールを交換することが可能で、対艦攻撃や対潜攻撃、情報収集などを実施できます。
これに加え、シースウォードXではロシアのウクライナ侵攻における戦訓を受けて、ドローンを無力化する高出力マイクロ波照射モジュールやレーザー照射モジュールも開発されるようです。
韓国はかなり早い時期から本格的な戦闘用USVの開発に取り組んでいましたが、世界的に見ると韓国のような国は少数派で、多くの国ではUSVを港湾や近海の警備といった、補助的な装備と位置づけていました。
しかし、ウクライナ戦争でウクライナがUSVによりロシア海軍の大型艦艇を撃沈するだけでなく、搭載する対空ミサイルにロシア航空宇宙軍の戦闘機やヘリコプターを撃墜するという大きな戦果を上げました。これを受けて、それまで戦闘用USVの開発に積極的でなかったイギリスやNATO(北大西洋条約機構)加盟国なども、本格的な戦闘用USVの開発に取り組んでいます。
日本もそんな国の一つで、2024年から「戦闘支援型USV」の研究を開始。2025年5月21日から23日まで千葉県の幕張メッセで開催された防衛総合イベント「DSEI Japan2025」では、その模型が展示されました。USVのサイズなどは発表されていませんが、艦の後部にはミサイルランチャーを搭載するコンテナが2基置かれているあたりから見て、かなり大型のUSVになるのではないかと筆者は思います。
このコンテナは任務に応じた装備を搭載する仕組みとなっており、コンテナを乗せ換えることで、シースウォードXと同様、多用な任務に対応する仕組みになっています。
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