人は乗りません!「撃ってくる無人戦闘艇」韓国で初披露 日本やアジアで増殖する“海の無人機”

韓国の総合防衛企業が装備展示会「MADEX2025」にて、新型戦闘用USVを発表しました。韓国がこうした無人装備の開発を進める背景には、深刻な人口減少問題があります。同様の問題に直面する日本は、どのような状況でしょうか。

日本も他人事じゃない 今後のあるべき方策とは

 日本ではあまり普及しているとは言い難いのですが、前にも述べたようにUSVを港湾や近海の警備に使用している国は少なくありません。人的資源に乏しく、かつ港湾と海洋の安全が国家の命運を左右するシンガポールは、USVを積極的に活用している国の一つです。

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STエンジニアリングが「DSEI Japan 2025」で展示したUSVの模型(竹内修撮影)。

 シンガポール海軍や法執行機関が運用しているUSVの多くは、シンガポールの重工メーカーSTエンジニアリングによって開発されています。同社はDSEI JapanでUSVとUSV制御用マストをアピールしていました。

 USVの普及が十分でない日本を有望なマーケットと捉えているのは、STエンジニアリングだけではありません。台湾もシンガポールと同じ課題を抱える国(地域)の一つですが、同国の無人装備品のトップメーカーである「サンダータイガー」は、2025年6月4日から6日まで幕張メッセで開催された無人装備展示会「ジャパンドローン2025」に、USV「シーシャーク」の模型を展示して、アピールに務めていました。

 他方、日本の三菱重工業はUSVやUUV(無人潜水艇)、UAS(無人航空機システム)などを組み合わせて港湾やパイプラインなどの監視を行う「CoasTitan」を開発しています。同社は各種無人装備を自前で開発できる能力がある企業ですが、CoasTitanではシステムの開発に注力して、使用する無人装備は国内外の他社が開発した実績のある製品で構わないという姿勢を示しています。

 日本も人的資源が乏しく、港湾と海洋の安全に国家の安全が左右される国の一つです。この課題を解決して安全保障能力を強化するのであれば、CoasTitanのようなシステムの導入と、シンガポールや台湾のような同じ課題を抱える国や地域との協力を進めていくべきなのではないかと思います。

【続々と増殖中】アジア各国が開発する無人艇の数々を写真で(画像)

日本唯一の防衛展示会「DSEI Japan 2025」

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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