JR東日本「新たな夜行特急」が“改造車”の理由とは? 常磐線「ひたち」車両に白羽の矢が立ったワケ
JR東日本が導入する「新たな夜行特急」は新造車ではなく、常磐線特急で使用されているE657系を改造した車両となります。なぜこの車両に「白羽の矢」が立ったのでしょうか。
改造種車が現役の「E657系」の理由とは
この意欲的な夜行特急を新造車ではなく、改造車とする理由について、JR東日本は「コスト面のメリットやサステナビリティへの配慮の観点から、新造ではなく改造で夜行特急列車を作ることにしました」(コーポレート・コミュニケーション部門)と話します。
また、改造の種車をE657系とした背景については、「車両運用の工夫などにより、『ひたち』『ときわ』の運行本数を変えることなく車両を捻出できたこと、比較的車歴が浅く改造後長期間にわたって運行できる見込みであること、交直流用車両であれば首都圏~東北地方を1つの列車で結ぶことができることから、E657系を改造することになりました」(同)としています。
JR東日本では、首都圏エリアは直流1500Vの一方、東北エリアは交流2万Vとなっています。そのため、在来線で両地区を結ぶ列車には直流・交流どちらの電流でも走れる交直流車両が必要です。常磐線を走る特急車両は、直流区間しか走ることができない「あずさ」「かいじ」用のE353系や「成田エクスプレス」用のE259系などと異なり、交直流車両のため、夜行特急の種車となった形です。
交直流両用の特急車両では、特急「フレッシュひたち」で使用されていたE653系も存在しますが、こちらは1997年の登場でE657系より車齢が高く、現在は主に波動用として臨時列車に多用されています。車両運用の余裕や車齢などを踏まえ、E657系に白羽の矢が立ったというわけです。
なお、E657系は2012年に営業運転を開始し、現在は19編成(K1~K19編成)が勝田車両センター(茨城県ひたちなか市)に所属しています。どの編成を夜行特急に改造するかは「様々な条件を勘案し、検討中」としています。
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