石勝線夕張支線、2019年3月に廃止か 夕張市がJR北海道と「交渉」へ

北海道夕張市が石勝線・新夕張~夕張間の廃止を受け入れる代わりに、交通施策などへの協力をJR北海道に要請しました。市は新たに整備する複合公共施設にバスターミナル機能を持たせ、ここから新夕張駅などに向かうバスを運行する構想といいます。

道内で3番目に輸送密度が低い夕張支線

 北海道夕張市の鈴木直道市長は2016年8月8日(月)、JR北海道の島田 修社長を訪問し、JR石勝線・新夕張~夕張間(夕張支線)16.1kmの廃止を受け入れる代わりに、交通施策などへの協力を要請しました。

 7月29日(金)、JR北海道は会社の経営状況と北海道内の人口減少の現状を踏まえ、それぞれの地域に適した「持続可能な交通体系のあり方」について、今年の秋口以降に沿線自治体などと協議を開始したいとする考えを発表しています。

 JR北海道によると、夕張支線は、2015年度の輸送密度(1kmあたりの1日平均利用者数)が118人/km/日で、道内では留萌本線・留萌~増毛間の「67」、札沼線・北海道医療大学~新十津川間の「79」に次いで、3番目に少ない線区です。同社は輸送密度が500人級(収入3億円規模)の線区では、燃料費や乗務員経費など輸送に直接必要な経費が賄えないとしています。

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2015年度の、JR北海道における線区ごとの輸送密度。点線、赤線、だいだい線の順に利用者が少ない(画像出典:JR北海道)。

 夕張市のまちづくり企画室によると、このように夕張支線の利用が少ない状況であることや、およそ15か所の橋やトンネルが建設からすでに100年以上経過していることなどを踏まえると、近い将来、廃止などの議論が避けられないと予想し、JR北海道に交渉を持ちかけたといいます。

 1975(昭和50)年まで夕張市には、夕張支線以外に夕張鉄道の鉄道路線が乗り入れていました。夕張鉄道の鉄道が廃止された現在では、それに近いルートで夕張市内と札幌市内を結ぶバスのほか、夕張市内の「夕鉄本社ターミナル」を拠点に市内各地を結ぶバスも運行されています。

 夕張市は2019年度中に、市南部の清水沢地区にホールや図書館などを持つ複合公共施設を整備する計画です。夕張支線廃止後はこの施設に夕張鉄道のバスターミナル機能を移転し、ここから石勝線の新夕張駅(北海道夕張市)や市内各地へ向かうバス路線を運行したい考えです。新夕張駅と市内を結ぶバス路線については、「現行の夕張支線のルートや本数を必ずしも踏襲したものではなく、利用の実態にあわせて検討する」とのこと。

 JR北海道に対しては、市内交通体系の見直しへの協力や夕張市へのJR北海道社員の派遣などを要請しており、また、夕張支線の廃止時期については「早ければ2019年3月の見込み」としています。

【了】

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