戦車の中、誰が何をしてるの!? 実は車内には「3人」or「4人」…知られざるそれぞれの役割

現代のいわゆる主力戦車(MTB)では、3~4人の乗員が動かしています。それぞれどのような役割を持ち、なぜ人数が異なるのでしょうか。

戦車乗員は3人と4人 どちらがいいのか?

 戦車の主砲の照準を合わせ、発射ボタンを押すという重要な任務があるのが、砲手です。その戦車が「兵器」としてどれくらい優れているかを見せるには、砲手の実力が重要になります。

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10式戦車には自動装填装置が搭載されているため、乗員は3名。操縦手は後ろが見えないため、車長がバックミラー代わりとなり協力して作戦を実行する(凪破真名撮影)

 確かに、車体の向きを制御するのは操縦手、車体の姿勢やポジションを制御するのは多くの戦車で車長の役割で連携も大切です。しかし、この時点ではまだ目標にはなにもダメージを与えていません。

 そうしたとき砲手は、射撃統制装置を駆使して、目標に行動を見て照準を合わせ、最終的に発砲する役割を持ちます。つまりこのポジションも、責任は重大といえるでしょう。また、主砲同軸の機関銃(連装銃)を動かすのも砲手の仕事になります。

 2025年現在、車長・操縦手・砲手の3名が、戦車人員では最小の単位となります。そして自動装てん装置が搭載されていない車両では、もう一人人員が増えます。これが装填手(そうてんしゅ)です。

 装填手はその名の通り、砲を装填する役割の乗員です。この装填手のいない戦車は、自動装填装置がその役割を代行します。実は装填手、思った以上に過酷で、その仕事ぶりは「車内の重量挙げ選手」などともたとえられます。

 それもそのはず、戦闘になれば、装填手は1発十数キロもある砲弾を絶え間なく装填し続けなければなりません。重い砲弾を砲弾ラックから取り出し、砲尾の高さまで持ち上げて押し込む――。燃焼ガスで灼熱地獄ともいえる車内で絶え間なく動き続ける任務であり、あまりの過酷さに倒れる装填手もいるそうです。

 では、技術が発展した現代であればなおさら「すべての戦車に自動装填装置を搭載すればいいではないか」といった意見もあります。ところが、この装置により車内が狭くなり、搭載できる弾薬数が減ったり、装置の故障によってまったく弾が撃てなくなったりとデメリットも多いことから、装填手を採用する戦車もまだまだ多いのです。

 また装填手は、同軸機関銃の弾薬の補充も任務に含まれるほか、移動中は、ほかの人員と共に停車時のカモフラージュや陣地の設営、さらに簡易的な整備などを行う人員にもなります。そのため、貴重な「労働要員」としても装填手を残すべきという意見も根強くあります。

 そしてもうひとり、かつての戦車には必須の乗員でしたが、現代戦車では見かけなくなった乗組員がいます。それが通信手です。通信手段が発達した現代では、車長が兼任しており必要がありませんが、第二次世界大戦時の戦車ではまだ無線機の操作や通話などを専任で行う乗組員がいました。

ただ、無線機のチェックだけをしていればいいという訳ではなく、車載機関銃の射手も兼 ねていました。また、戦闘の記録係や長期任務の際の糧食責任者としての任務もあり、いわば戦車内の事務方の役割を持っていたといいます。

 また通信手は車内の監視役といった役割もあったため、通信手を軽んじるほかの乗組員がいようものなら、戦闘時のそれぞれの活躍や失敗を事細かく書き記し、正確に上層部に情報を伝えることで、自分の地位を保ったといわれています。なかには、細かなデータや情報を上手に統制し、車長さえも通信手に従わざるを得なかったという軍師的な役割を持った通信手もいたそうです。実は車長よりも怒らせてはいけない存在だったという訳です。

 現代戦車では通信設備が発達し、通信手という役割の戦車乗員は姿を消しました。それでも、車長、操縦手、砲手+装填手という基本スタイルは、第二次世界大戦時から大きく変わることはありません。彼ら戦車乗員たちは、それぞれ全く違う動きをしながら、戦車の手となり足となり目となり、まるで戦車を“ひとつの大きな獣”のように自在に動かしているのです。

【慣れないとキツそう…】これが、戦車の運手席です(写真)

Writer:

なぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。

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