間もなくサヨナラ! 最古参巡視船「そうや」の半世紀 先代は有名な南極観測船 なぜ船名の表記が変わった?
南極観測船として広く知られる初代「宗谷」、その名を継ぐ2代目が2018年11月22日、竣工40年を迎えました。海保巡視船の2代目も、実は砕氷船です。
もうすぐ後継船が就役へ
21世紀を現役のまま迎えた「そうや」でしたが、さすがに25年を経過したころから老朽化が目立つようになりました。また、やはり運用するにつれて設計の行き届いていない箇所や、新造船に装備されるようになったデータ転送システムがないなどの性能不足も見受けられるようになりました。

一方で、代替船を建造する予算的余裕は海保になかったため、そこで2010(平成22)年に船橋を作り変えるほどの大幅な改良延命工事が行われ、船齢(耐用年数)を15年ほど延ばしています。とはいえ、これも一時的な措置であり、2021年度の補正予算で後継船の建造が決まります。こうして生まれた新型の砕氷機能付きのヘリ搭載巡視船は2024年9月2日、JMU(ジャパンマリンユナイテッド)横浜事業所磯子工場で進水、栄光の船名を受け続く形で「そうや」と名付けられています。
新型「そうや」は2025年中の就役が予定されているため、間もなく現行「そうや」は退役する計画です。
ちなみに、初代「宗谷」は船名が漢字で、二代目および三代目「そうや」がひらがなで表記されるのには、次のような経緯があります。
初代「宗谷」の名前は、海保の巡視船になる前、戦前の1940(昭和15年)2月に、旧日本海軍によって命名されました。ちなみに旧海軍によって買い上げられる前は商船「地領丸」という名でした。そしてこの「宗谷」という名前で大戦を生き抜き、海保編入後も引き継がれます。
一方、海保の巡視船表記はひらがなと規定されているため、最初から巡視船として新造された二代目と三代目「そうや」は、ひらがな表記が正式です。旧海軍の船名を引き継いだか、竣工当初から海保の命名基準だったかでこのように異なるのです。
【了】
Writer: 柘植優介(乗りものライター)
子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。
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