「フランスの戦闘機を中国産機が撃破した」→その後何が? ある意味“空中戦”な国際舞台で出現の光景とは
インド軍が運用するフランス製「ラファール」戦闘機を中国製の戦闘機「J-10C」が撃墜した直後に行われたパリ航空ショー。ここでは各国の政治的な思惑が多数確認されています。現場に行ってみてみました。
「グローバルアイ」展示から見るフランスの“オトナな戦略”
今回のパリ航空ショーで公開された「グローバルアイ」ですが、その姿はおいてはありませんでした。そのわけはフランスが使う早期警戒管制機E-3Fの後継として、2機を今後購入するとした、サーブの18日の発表にあります。なお、「グローバルアイ」はサーブが以前に開発し、インドとの衝突時にパキスタン空軍がミサイル攻撃で失った「エリアイ2000」の次に開発された早期警戒管制機で、いわば後継モデルにあたる存在です。
「エリアイ2000」の発展型である「グローバルアイ」は、フランスにとっては新機種です。「グローバルアイ」は実機を展示して自国軍の装備の刷新をアピールし、さらに「ラファール」を撃ち落としたJ-10の展示は模型のみにとどめて目立たせない――。こうした露出方法を世界の業界関係者が注目するイベントで行うことにより、「ラファール」の撃墜からショー来場者の目をそらせたといってよいでしょう。
一方、依然として中国は、少しでも強く、国際舞台でJ-10CEをアピールしたいことには変わりありません。このため模型の展示であっても、J-10CEをセンターに置くことで、わずかな“反撃”を試みた形跡を見ることができます。
実際、シャープなスタイルのJ-20をいわば“モブキャラ”扱いし、一世代前の姿が明瞭なJ-10CEがセンターを務める編隊はどこか違和感があり、それゆえに逆に人目を引いていたのは間違いありません。
※一部修正しました(6月22日18時)。
Writer: 相良静造(航空ジャーナリスト)
さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。
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