年間2000万人空港「送迎車で大混雑問題」緩和なるか? 那覇空港の「高架道路」延伸でどう変わる まだまだ続く“機能強化”
沖縄本島の空の玄関口である那覇空港で、ターミナル前の高架道路が延伸されました。年間2000万人を超える利用客による空港での“送り迎え”の混雑緩和が期待されていますが、抜本的な問題解決にはまだまだ時間がかかりそうです。
高架道路の延伸で「国内線と国際線の送迎を分離」
今回の工事では、高架道路を国際線ターミナル前まで延伸し、国内線出発ロビー利用客と、バスやタクシーを利用する国際線出発ロビー利用客の送迎を分離します。また国際線ターミナル手前にある従来のスロープを廃止し、新たに国際線ターミナルの北端を過ぎたところにスロープを新設しています。

その先の地上部では、これまでP3の北でバスプールをへだてて立地する空港関係者駐車場を回り込むように通っていた空港内周回道路の位置を変更、さらに大きく北側に迂回するよう改めました。
これは空港出口にある交差点で「うみそらトンネル」から「西海岸道路」につながる国道58号に向かうクルマ、国道332号で那覇市街南部に向かうクルマの信号待ちと周回道路を使うクルマとを切り離し、渋滞の緩和を目指すものと考えられます。
事業を担当する内閣府沖縄総合事務局では、今後も延伸された高架道路の拡幅事業を進め、さらなる混雑の緩和、利便性の向上を図っていくとしています。
渋滞解消はまだまだ遠い!
ただ今回の延伸工事の完成、そして今後の拡幅事業だけでは、那覇空港が抱える道路の混雑という課題を根本的に解決するのは難しいのではないかと思われます。その理由は、高架道路の完成にはまだ時間がかかること、そして駐車場の絶対数が不足していることです。
そもそも沖縄県は日本でも有数のクルマ社会であり、ゆいレール(沖縄都市モノレール)の路線でカバーできるエリアは那覇市および浦添市の一部でしかありません。また中距離バスが沖縄本島中部および北部の都市を結んでいますが、それら都市でもバス停やバスターミナルに徒歩でアクセスできるのは限られたエリアの住民だけです。
こうした事情から、空港を利用する地元住民は、どうしてもクルマを使ってのアクセスに頼ってしまうのです。先に述べたように、那覇空港には2500台近い駐車場がありますが、その需要を十分に満たせていない状況です。
そして新たに完成した高架道路はまだ「一部完成」の状態で、一般者用の車寄せはなく、その整備は今後の拡幅に委ねられています。そのため国内線ターミナル前の車寄せに一般車が集中する構図は変わりません。
ターミナル前の混雑を根本的に解決するには、駐車場の不足を解消し、送迎用にきちんと機能できることが、不可欠でしょう。
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