夜行フェリーなのにほぼホテル!? ゴロ寝の大部屋から“ヒミツの個室”まで 本州―北海道の人気航路で“異彩を放つ1隻”に乗った

北海道の苫小牧と青森県の八戸を結ぶシルバーフェリーは、特色ある船舶を運航しています。今回はその中でも、「ビューシート」を持つ「シルバーティアラ」に乗船しました。

4隻ぜんぶ違う!「シルバーフェリー」

 北海道の苫小牧西港と、青森県の八戸港を結ぶシルバーフェリーは、北海道と本州の太平洋側を結ぶフェリーでは最も多い1日4往復が運航される中距離航路です。2012(平成24)年竣工の「シルバープリンセス」から、2021年竣工の「シルバーブリーズ」まで、比較的新しい4隻の船舶で運航されていますが、特徴的なのは、これら4隻全ての仕様が異なる点です。

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2018年に就航した「シルバーティアラ」(安藤昌季撮影)

 例えば総トン数を比較すると、「シルバープリンセス」は1万563総トン、「シルバーエイト」は9483総トン、「シルバーティアラ」は8600総トン、そして「シルバーブリーズ」は8900総トンとすべて異なります。

 このような違いが生じた理由は、「シルバーエイト」や「シルバーブリーズ」が津軽海峡フェリーと鉄道建設・運輸施設整備支援機構との共有船として建造され、川崎近海汽船が傭船して運航しているといった事情などがあります。しかし、別の見方をすればそれだけバリエーションが豊かということでもあり、趣味的な視点から見ると興味深いものになっています。

 今回はその中でも「シルバーティアラ」を取り上げます。他の3隻にはない特別な設備を備えているからです。

マネキンがお出迎え

 木曜日、苫小牧西港23時59分発の「シルバーティアラ」に乗船します。

「シルバーティアラ」のエントランスに入ると、まず目を引くのは、豪華なティアラをかぶった女性のマネキンです。船名にちなんだ演出から、物語性を大切にしていることが感じられます。エントランスには売店があり、冷凍食品や飲料の自動販売機も置かれています。

 取材のため、キッズルームも見学させてもらいました。おもちゃなどで遊べる部屋とは別に、壁面に映像を投影できるプロジェクター設備があり、楽しめる工夫がされています。利用したい場合は売店で声をかければ対応してくれるそうで、特に昼間便で約8時間を過ごす際には、ありがたい設備です。

 5階フロアには、1等の個室や2等の共用設備があります。1等には、シングルベッド2台の1等洋室(定員2名)、車いす対応の1等多機能和室(定員4名)、1等多機能洋室、そしてペット同伴が可能な1等ペット同伴室などがあります。

 洋室も定員4名の部屋は2段ベッドですが、和室は平らな床にマットレスを敷くスタイルのため、よりバリアフリー性が高いと感じます。いずれの1等客室にも、テレビと洗面所が備わっています。また、1等ペット同伴室の隣には、ペットのみを預けるペットルームや、ペットと一緒に散歩できる小スペース「ペットバルコニー」もあります。

【写真】「シルバーティアラ」の船内に飾られたティアラ

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