唯一無二の「ロープウェイ風モノレール」廃止後どうなった? 車両は新天地へ 「スカイレール」の今
2024年4月末に運行を終えて廃止された広島のスカイレールは今どうなっているのでしょうか。解体作業が本格化している現地を見てきました。
3つの駅を結んだ軌道がついに途切れた
2024年4月末をもって運行を終了したスカイレール(広島短距離交通瀬野線)。駅舎や軌道、橋脚などはそのまま残っていましたが、2025年3月から解体作業が本格化しました。

スカイレールは、広島市安芸区のみどり口駅とみどり中央駅を結んでいた延長1.3kmの軌道です。懸垂式モノレールとロープウェイを組み合わせたような新交通システムで、定員25人のゴンドラのような車両が運行されていました。
JR山陽本線の瀬野駅から住宅団地(ニュータウン)の「スカイレールタウンみどり坂」へ向かう際の交通手段として1998(平成10)年に開業しましたが、2024年5月1日付で廃止。それ以降は役割をEV路線バスに譲っています。
現地を訪問した6月下旬時点で大きく姿を変えていたのは、唯一の途中駅だったみどり中街付近です。駅前後の軌道部分はすでに撤去され、麓側の瀬野駅に隣接するみどり口駅と、山側のみどり中央駅を結んだ軌道は途切れていました。
みどり中街の駅舎内も設備の撤去は進んでいる模様です。静かな住宅街にひっそりとたたずむ、役目を終えたスカイレールの設備。それと並行する道路を、代わりの交通手段となった「みどり坂タウンバス」が時折発着する様子が印象的です。
その他の区間は、訪問時点では未着手のようです。みどり口駅・みどり中央駅とも、外から見た限りでは大きな変化はありません。もちろん乗降口への通路が塞がれるなど、現役の頃とは違う光景もありますが、今もなお当時の雰囲気を色濃く残しています。
みどり口駅はみどり坂タウンバスの定期券販売所もあることから、今でもスカイレールに乗れるのではないかという雰囲気すら漂います。JR山陽本線や周辺の道路から見える光景も、現役当時とほぼ変わりません。
ちなみに、スカイレールを運行していたスカイレールサービス株式会社は、現在はみどり坂タウンバスを運営。乗りものの種類こそ変わったものの、スカイレールの名を今もなお継承しています。
みどり中央駅も解体は始まっていませんが、みどり坂タウンバスの車庫に隣接してスカイレール撤去工事の事務所が設置されています。撤去工事は2028年5月まで時間をかけて行われるようですが、造成時からスカイレールタウンみどり坂の象徴でもあったこれらの設備は、やがて過去のものとなるようです。
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