唯一無二の「ロープウェイ風モノレール」廃止後どうなった? 車両は新天地へ 「スカイレール」の今
2024年4月末に運行を終えて廃止された広島のスカイレールは今どうなっているのでしょうか。解体作業が本格化している現地を見てきました。
スカイレールの車両はどこへ?
さて、もう一つ気になる存在がスカイレールで使用されていた車両です。2024年4月末に運行が終了し、早速5月上旬に搬出が開始された200形は、201~207の全7両のうち5両の保存展示や譲渡が行われています。
みどり中央駅舎横の空き地には2両の車体が置かれています。これはみどり坂団地の町内会に譲渡されたものです。
瀬野川公園(広島市安芸区)の「ちびっこランド」エリアには、お色直しされた207を設置。今のところ車内への立ち入りなどはできない状況ですが、まるで新製当時のようなきれいな姿を目にすることができます。
ちなみにこの207は、スカイレール増発のため追加製造され、2019年1月に営業運転デビューした車両です。現役期間は5年3か月程度と短いものでしたが、新天地で多くの人にスカイレールの活躍を伝える役目を担うのは幸運といえるでしょう。
ヌマジ交通ミュージアム(広島市安佐南区)でも1両を展示する予定とされています。これが公開されれば、広島県内で計4両のスカイレールを目にすることができることになります。
そしてもう1両は、都市型自走式ロープウェイの実現を目指すスタートアップ、Zip Infrastructureに譲渡。新しい交通システムの研究開発を行う同社で、未来のまちづくりへの手がかりとなることが期待されます。
特殊構造による部品確保や維持コストなど、様々な要因により26年でその歴史に幕を下ろしたスカイレール。JR山陽本線の車窓に突如現れる特徴的な設備は、やがて姿を消します。しかし、その活躍は地域に保存される車両とともに語り継がれていくことでしょう。
Writer: 和田 稔(鉄道ライター)
幼少期、祖父に連れられJR越後線を眺める日々を過ごし鉄道好きに。会社員を経て、現在はフリーの鉄道ライターとして活動中。 鉄道誌『J train』(イカロス出版)などに寄稿、機関車・貨物列車を主軸としつつ、信号設備や配線、運行形態などの意味合いも探究する。多数の本とNゲージで部屋が埋め尽くされている。
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