「欧州の国際線超特急」、日本のとどう違う? 「荷物置くところない…」問題などは起こらないのか
欧州を走る「ユーロスター」は、国際線を行き交う高速鉄道と、日本の新幹線とは大きく異なる存在です。乗客の貨物の搭載スペースなど、どのように異なるのでしょうか。
やっぱ国際線向けだわ…となる客室設計
1階のホームへは係員の指示により降りるため混乱もなく、車両に入り指定席に着きましたが、スーツケースを置く場所はドア横の荷物棚です。大きさは東京都心と成田空港を結ぶ鉄道各社の車両のそれと同じ程度のスペースです。
つまり、大型の荷物を持ち込む国際線利用者を想定しているため、国内移動の目的で客室が設計された日本の新幹線より潤沢なスペースが確保されていると見てよいでしょう。
とはいえ荷物棚は満杯でした。しかし、棚が不足するほどではなくスーツケースを置くことができなかったり、空いた棚を探して車両間を移動したりする乗客を見かけることはありませんでした。
パリ発は午前11時過ぎだったため、食事が出されたのは約1時間後。昼食にちょうど適度な量で、コーヒーやソフトドリンクのほかに旅客機の国際線と同じくワインの小瓶もあり、味もまずまずでした。乗車時間も加味するとサービスは日本~台北間の国際線におおよそ似た感じでしょう。ただし、旅客機のようなエンターテイメント表示システムはなく、乗車中は本かスマートフォンに眼を落としたり車窓の眺めを楽しんだりするしかなく、この辺りは日本の鉄道と変わりはありませんでした。
車内の荷物棚は足りないとは見受けられませんでしたが、出国審査時に大きなスーツケースを自分で持ち上げてX線検査機を通すのはやや苦労しました。とはいえ、英仏海峡トンネルで速度を落とした後にセント・パンクラス駅に到着すれば、旅客機のように荷物が出てくるのを待つこともなく、すぐに地下鉄などへ乗り換えができるのはとても便利です。
総じて東京・新大阪駅間の新幹線の感覚に近く、これが「国際線」なのは、やはり国が接し合っている欧州ゆえなのでしょう。
Writer: 加賀幸雄(旅行ライター)
日本各地の名産や景勝に興味があり、気ままに目的地を決めて2泊3日程度の 小旅行を楽しんでいる。
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