四日市市に鉄道愛好者の賞 廃線の危機、ハンデ乗り越え

なぜ自治体が鉄道趣味の賞を?

 授賞式で「鉄道友の会」の須田会長は「廃線の危機を乗り越え……」と話しました。通常は鉄道事業者が受賞する「ローレル賞」ですが、今回、地元自治体の四日市市にも贈られたのは、四日市あすなろう鉄道ならではの理由があります。

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「ナローゲージ」である四日市あすなろう鉄道の新260系は車両自体も小さく、車内の幅は1920mmしかない(2016年8月、伊原 薫撮影)。

 同鉄道の内部・八王子線は、もともと大手私鉄の近畿日本鉄道(近鉄)が運営していました。ところが、この路線は前述のとおり「ナローゲージ」といって線路の幅が狭く(近鉄の南大阪線系統や一般的なJR在来線は線路の幅が1067mmなのに対し、四日市あすなろう鉄道は日本で数少ない762mm)、車両をはじめさまざまな施設が“規格外”なため、ほかの路線よりも保守などの経費がかかり、老朽化した車両や施設の更新も難しい状況に。乗客の減少もあり、近鉄はバス転換する方針を決定しました。

 これに対し、地元の四日市市は鉄道での存続を希望。1年以上にわたる協議の結果、四日市市が車両や線路、駅といった施設を保有し、市と近鉄が設立した「四日市あすなろう鉄道株式会社」がその施設を借りて営業するという「公有民営方式」での存続が決まりました。つまり、このたび「ローレル賞」を受賞した新260系電車は、所有者は四日市市、それを借りているのが四日市あすなろう鉄道ということになるため、両者の受賞になったのです。

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新260系の車内には、所有者である四日市市の銘板が取り付けられている(2016年8月、伊原 薫撮影)。

 この「公有民営方式」はいま、地方の鉄路を守る方法のひとつとして、岩手県の三陸鉄道や滋賀県の信楽高原鐵道、鳥取県の若桜鉄道など各地で導入されており、2015年4月から近鉄に代わり列車の運行を始めた四日市あすなろう鉄道もそのひとつ。自治体と鉄道会社が一体となって市民の足を守り、その沿線や利用者が希望に満ちた明日になることを目ざして、今日も走り続けています。

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