四日市市に鉄道愛好者の賞 廃線の危機、ハンデ乗り越え
三重県四日市市が、鉄道愛好者の団体「鉄道友の会」から「ローレル賞」を受賞しました。なぜ自治体へ賞が贈られたのでしょうか。ローカル線廃止の話題が少なくない昨今、同市が行ったことが、少なからず影響しているかもしれません。
「ブルーリボン賞」と「ローレル賞」
毎年多くの新型車両がデビューする日本の鉄道。そのなかで、特に優れた技術やデザイン、接客設備を取り入れた車両に対し、鉄道愛好者の団体「鉄道友の会」が毎年贈っているのが「ブルーリボン賞」と「ローレル賞」です。前者は同会会員による投票結果が重視されるのに対し、後者は選考委員会による選考。そのため、どちらかというと特急車両などの“花形”には前者が、華やかさはなくとも技術的に特筆すべき車両には後者が贈られることが多くなっています。
2016年、両賞の候補になった車両は、前年のうちに営業運転を開始した14形式。そのなかで、「ブルーリボン賞」には「ジェット・シルバー5700」の愛称を持つ阪神電気鉄道の通勤型電車5700系が、そして「ローレル賞」にはJR東日本のディーゼルハイブリッド車両HB-E210系とともに、三重県四日市市内を走る四日市あすなろう鉄道の新260系電車が選ばれました。
近鉄四日市駅に隣接する、あすなろう四日市駅で2016年8月20日(土)に行われた授賞式には、「鉄道友の会」の須田会長や柚原選考委員長らが出席。鉄道ファンや利用者が見守るなか、四日市あすなろう鉄道の都司社長と四日市市の田中市長へ、賞状と記念の楯を贈呈しています。
授賞理由について須田会長は「厳しい経営状況や線路幅が狭いナローゲージというハンデを乗り越え、快適に利用できる新車を投入したのは素晴らしい。廃線の危機を乗り越えて公共交通を守ってきたという点、地域が『マイレール意識』を持って鉄道を支えていることにも敬意を表し、『ローレル賞』を贈呈したい」と説明しました。
また受賞した四日市あすなろう鉄道の都司社長は「鉄道事業者にとってはこのうえない喜び。9月には地元の高校生がデザインした車両をデビューさせるなど、より利用者に近い鉄道になれるよう今後も精進していく」、田中市長は「『地域に貢献する鉄道』という評価が嬉しい。この鉄道は四日市の発展のシンボルともいえる。これからも地域に愛され、貢献できるよう努力していきたい」と述べました。
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