「冷戦最後の世代」トラファルガー級原潜「トライアンフ」退役 40年の任務に幕 250年受け継がれた伝統の艦名

イギリス海軍は2025年7月21日、トラファルガー級原子力潜水艦の最後の1隻である「トライアンフ」が正式に退役したと発表しました。

今度は、他の者たちが担う番だ

 イギリス海軍は2025年7月21日、トラファルガー級原子力潜水艦の最後の1隻である「トライアンフ」が正式に退役したと発表しました。

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夕日と「トライアンフ」(画像:イギリス国防省)

 トラファルガー級は、敵潜水艦の攻撃から艦隊や国土を守るため、1980年代に運用が始まった攻撃型原子力潜水艦で、計7隻が建造されました。「トライアンフ」はその中で最後まで現役を続けていた艦であり、同艦の退役により、約40年にわたるトラファルガー級の運用は幕を閉じることになります。なお、これらの任務はすでに後継艦であるアスチュート級原子力潜水艦に引き継がれています。

 同級は、潜航任務に加えて対艦攻撃や対地攻撃を行う攻撃型原潜としても知られています。「トライアンフ」は2001年のアフガニスタン紛争でトマホークミサイルを発射し任務にあたったほか、2011年のリビア内戦では民間人保護のために派遣され、地中海からミサイル攻撃を実施しました。

 イギリス海軍によると、「トライアンフ」という艦名が初めて用いられたのはエリザベス1世の治世下、1561年に建造されたガレオン船(大型帆船)であったとされています。それ以降450年以上にわたり、戦列艦、戦艦、空母など、時代を代表する主力艦にこの名が受け継がれてきました。

 退役式典では、同艦の最後の艦長を務めたバレル大佐が、トラファルガー級について「冷戦の戦士たちの最後の世代」であると述べました。そのうえで、「もっとも、冷戦が終わったわけではありません。私たちは、危険な任務を今も続けています」とし、ロシアの動向など現在の国際情勢を踏まえたスピーチを行いました。

 そして彼は、「『トラファルガー』、『タービュレント』、『タイヤレス』、『トーベイ』、『トレンチャント』、『タレント』、そして『トライアンフ』――ゆっくり休んでくれ。今度は、他の者たちが担う番だ」と述べ、長年にわたる艦と乗員たちの貢献に敬意を表しました。

 式典には、トラファルガー級の元乗組員たちも多数参加しました。現在BAEシステムズに勤務している元原子力技術者で、「トレンチャント」と「トーベイ」に乗艦経験のあるクレイグ・スペイシー氏は、トラファルガー級について「本当に素晴らしい艦でした」と語り、「艦内では素晴らしい友情が築かれていた。ここにいる潜水艦乗りなら、誰もが同じように言うでしょう。私たちが潜水艦に留まり続けたのは、仲間、楽しさ、そして友情があったからです」と当時を振り返りました。

【画像】流石に老朽化の跡が…、これが退役直前の「トライアンフ」です

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