ダイハツのフラッグシップだ!「渾身の力作」が登場直後に大ゴケした真相 “鳴かず飛ばず” でも販売10年以上なぜ?

バブル絶頂期に販売された乗用車「アプローズ」は、実用性に優れ、完成度こそ高かったものの設計ミスから車両火災を起こし、大手新聞が叩いたことから命運を絶たれました。「ダイハツ渾身の力作」のあまりに気の毒な末路を振り返ります。

「喝采」ならぬ「火災」が引き金に 大手紙のネガキャンで命運絶たれた

 しかし「アプローズ」の属するコンパクトセダン市場には、「カローラ」や「サニー」のような競合がひしめくレッドオーシャンです。大手メーカーのように宣伝費をかけられないダイハツは、マスコミや購入者の「良いクルマ」という評判を頼りに、長い時間をかけてじわじわと販売を上向かせていく腹積もりだった模様です。ただ、ダイハツのそのような思いは、結局叶うことはありませんでした。

Large 20250804 01

拡大画像

1989年のデビュー間もない時期のダイハツ「アプローズ」(画像:ダイハツ)。

 最初のつまずきは発売直後のATとオルタネーターのリコールです。もちろん、ダイハツはすぐさま運輸省(現・国土交通省)に届けて真摯に対応したのですが、折悪くその日は第28回東京モーターショーの一般公開の初日で、マスコミ取材に対し、自動車工業振興会会長が出品自粛を要請するようなコメントをしたことが、テレビや新聞で報じられてしまいます。

 さらに翌月には、燃料タンクの空気抜きの設計ミスから、立て続けに2件も火災事故が発生。全国紙のうちの一紙がネガティブキャンペーンを張り、執拗に「欠陥車」とあげつらったことで「アプローズ」の命運は完全に絶たれました。

 たしかに設計ミスによる車両火災はダイハツの落ち度です。しかし、ダイハツはただちに運輸省へリコールを届け出て誠実に対応しています。これが巨額の広告宣伝費をもたらすトヨタや日産だったら、この新聞社は同じように報道したか疑問が残ります。

 しかし、残念ながらダイハツの宣伝広告費は少なく、この新聞社の懐を満足させてくれるようなクライアントではなかったのです。

 結局、出鼻をくじかれたことで「アプローズ」の販売は低迷。ラインナップを維持することを考えれば生産中止にすることもできず、かといってモデルチェンジをする資金もありません。そこでダイハツは少しでも開発費を回収するべく、一部改良やマイナーチェンジを繰り返しながら「アプローズ」を長期にわたって細々と売り続ける道を選択しました。

 後継車の「アルティス」(トヨタ「カムリ」のOEM車)が登場したのは2000年3月なので、「アプローズ」それまで11年にわたって販売が継続されました。このクルマの完成度は高く、傑作と言って良いほどの出来だったので、現在も「アプローズ」を評価している筆者(山崎 龍:乗り物系ライター)としては「あの車両火災がなかったら…」と思うと本当に残念でなりません。

【それ、ヤラセじゃないの!?】アプローズを成功させようとしたダイハツの裏話 (写真)

Writer:

「自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、モト・グッツィV11スポーツ、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか」に

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス