初の来日! ノルウェーの「虎の子」フリゲート 海自イージス艦との共通点も 長駆アジアまで来たワケ
イギリス空母「プリンス・オブ・ウェールズ」の随伴艦として横須賀港に寄港したノルウェー海軍のフリゲート艦「ロアール・アムンセン」。じつはノルウェー軍艦が来日したのは史上初めてになります。間近で見てきました。
海自まや型護衛艦や米軍アーレイバーク級駆逐艦との共通点も
フリチョフ・ナンセン級のベースとなったのはスペインのイージス艦であるアルバロ・デ・バサン級フリゲートで、同艦は艦橋の上にイージス・システムを構成するフェイズドアレイ・レーダーを4面に貼り付けたパゴダ状の構造物を設けています。同様の配置はオーストラリアのホバート級駆逐艦でも見られますが、これらより船体が小型でありながらイージス・システムを搭載するフリチョフ・ナンセン級ではさらに独特な形となりました。

搭載するフェイズドアレイ・レーダーは、他国のまや型やアーレイバーク級、アルバロ・デ・バサン級などが用いる「SPY-1D」を簡略化した「SPY-1F」多機能レーダーです。これは、ロッキード・マーティンがコルベットから空母まで、どんな艦艇にも幅広く対応できる高性能なレーダーシステムとして開発したものです。
ゆえに、採用されているシステムは簡易型の「イージスIWS(統合兵器システム)」で、8セルあるVLS(垂直発射装置)からは32発の「シースパローESSM(発展型シースパロー)」を発射します。このほかノルウェー国産であるNSM対艦ミサイルの4連装発射機2基や、オート・メララの62口径76mmスーパー・ラピッド砲1基などを備えています。
日米のイージス艦を見慣れていると、同じイージス・システムを搭載した軍艦だとはパっと見、思えないかもしれません。しかし、じつは正当なイージス艦の一種なのです。
また、ノルウェー海軍には2025年8月現在、長距離航海が可能な軍艦は、この「ロアール・アムンセン」が属するフリチョフ・ナンセン級フリゲート、4隻しかありません。いうなれば、ノルウェー海軍の「虎の子」的存在ともいえる艦を1隻、空母打撃群に参加させて日本へと派遣したのですから、ノルウェーも東アジアの安全保障をいかに注視しているのか、その本気度もわかると言えるでしょう。
「ロアール・アムンセン」は8月19日から22日にかけて東京港に寄港する予定です。史上初めて来日したノルウェー軍艦を見るなら今のうちと言えそうです。
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