まるでホテル!な「豪華高速バス」なぜ生まれなくなったのか? 明暗を分けたもの

個室風座席の「マイ・フローラ」や完全個室の「ドリームスリーパー」など、一時期話題となった夜行高速バスの豪華バス。最近は新たな豪華バスの話題を聞かなくなりました。事業者は戦略を変えたのでしょうか。

夜行バスが7番打者にもなれない“環境”

 東京~徳島の移動は航空が中心です。ただ航空は朝の始発が遅く最終便が早い傾向があります。両都市間を忙しく移動するビジネスパーソン、例えば徳島県内の企業の社長らは、東京で夜の会食のあと翌朝には地元で仕事、というケースがよくあります。

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2010年から18年まで運行されたWILLER EXPRESSの2列シート「コクーン」。全19席だった(画像:ウィラー)

 彼らが羽田空港から最終便に乗るには都内を19時台に出ないといけませんが、「マイ・フローラ」ならバスタ新宿22時15分発。夜中に移動し、翌朝、自宅でシャワーを浴びてからでも出勤できます。忙しい人ほど夜行高速バスが有効なのです。

 対して東京~大阪は早朝から深夜まで新幹線が頻発しており、夜行高速バスの利用は若年層などに限られます。高速バスは、東京~徳島なら航空という4番打者にはなれなくても7番辺りでいい仕事ができるのに、東京~大阪の出張需要において高速バスの出番はあまりないのです。

 企業の担当者は、市場データを「数字」として読み、「消費者」と無機質に呼んで、「東京~大阪ならビジネス出張」とステレオタイプに語りがちです。しかし、その消費者とは一人一人の「お客様」の塊です。「木を見て森を見ず」ということわざがありますが、お客様という「木」と市場という「森」は別物ではありません。

 ズームレンズを拡大縮小するように木と森を上手に行ったり来たりしてニーズを想像し、それに応える商品や広告を提供することこそ、マーケティングだと呼べるはずです。

 ちなみに、「ドリームスリーパー」を現在も運行する関東バスは東京都中野区や武蔵野市など中央線沿線で路線バスを運行する老舗ですが、大手私鉄系ではなく高速バス路線も少ない、若干地味な存在です。ただ、バス乗務員には一般的に「将来は高速バスを運転したい」という人が多く、「ドリームスリーパー」の存在は、現役乗務員のモチベーション向上にも、また新規採用にも貢献しているはずです。

【今も乗れる!】ぜんぶホテル並み!「豪華高速バス」車内(写真)

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